厚生労働省が2018年の人口動推計を発表し、人口の自然減が44万8千人で過去最大になりました。
例によってメディアでは「44万人」の数字が独り歩きし、「このまま毎年44万人減少すると」などの想像を膨らませている。
内訳は出生人数が92万1千人で去年より2万人減少、死亡者数が136万9千人で2万5千人増だった。
自然減とは出生人数の92万1千人から死亡者数136万9千人を引くと、マイナス44万8千人だったという意味です。
ところが良く考えるとおかしい比較で、92万1千人は「今年生まれた人」で136万9千人は「(平均)80年以上前に生まれた人」です。
つまり「出生者数-死亡者数」とは今年の出生者数から80何年か前の出生者数を引いた数字です。
統計上なんの意味もないばかりか、誤った印象を与える「印象操作」以上のものではありません。
日本は現在少子高齢化、子供が減り高齢者が増えて困っているので、増えすぎた高齢者が136万9千人亡くなったのは、人口統計では悪い話でもない。
高齢者は子供を産まないので80歳以上の高齢者の死亡数が増えても、将来の日本の人口には影響を及ぼしません。
将来人口に影響するのは出生数なので、数十年後の日本の人口は「年間44万人減」ではなく「年間2万人減」だと予測できます。
人口減少策を60年以上続けた
20年後や30年後の日本の人口に影響するのは、今年生まれた出生人数の方だけです。
問題は出生数だけなのが分かりましたが、その出生数も毎年減少しているので日本は困っています。
出生数を人口1万人あたりにすると2018年は約73人、10年前の2008年は約85人、1998年は約95人でした。
さらに遡ると1988年には105人、もっとも高かったのは1920年(大正9年)の361人でした。
人口1万人あたり出生数は明治維新ごろに170人で、1950年ごろに300人を割り、1955年に200人を割り、1977年に150人を割り込みました。
1990年には100人を割り込み現在は73人なので順調に減少しています。
こうして見ると1950年から1955年(昭和25年から昭和30年)に過去最大の出生数減少を示していました。
(数字は「出生数|年次統計 https://nenji-toukei.com/n/kiji/10011/%E5%87%BA%E7%94%9F%E6%95%B0」から引用)
この時は戦争で多くの男性がなくなって、その反動でベビーブームが起き、ベビーブームの反動で大きく減少した。