リーマンショック以降の10年近く、自動車産業は我が世の春を謳歌したが、それも終わるかもしれない。
日産、テスラ、ジャガー、フォードなどが相次いで人員削減を発表し、業界は大幅な販売減を予測しているようです。
フォードはイギリスなど欧州で数千人規模の人員削減と、工場閉鎖などを実施すると発表した。
ジャガー・ランドローバーはイギリスを中心に4500人の人員削減を発表したが、イギリスのEU離脱や中国での不振が原因に挙げられている。
イギリスのメイ首相は数年間EUとの非関税貿易を甘受でき、それでいてEUに従わなくて良いという離脱案をEU側と交わした。
だがなぜか英議会は大差でこれを否決し、ゼロか100かという再交渉を求めた。
うまく行けばイギリスは関税ゼロのままEUと貿易し、それでいて一切EUに従わずに済むが、そううまく行くとは思えない。
大手自動車メーカーも同じように考えていて、イギリスの生産拠点を縮小しようとしている。
日米などのメーカーがイギリスに工場を建てたのはEUと非関税貿易でき、誘致に有利な条件を提示されたからだった。
ジャガー・ランドローバーの中国販売は2018年に22%も減少していて、今後も縮小が予想される。
日産も米国で700人削減するほか、既にイギリス工場でも削減を発表している。
イギリスに工場があるトヨタとホンダもイギリスとEUの交渉次第で削減や撤退の可能性がある。
不況+EV化で大規模リストラが起きる
GMは2019年中にアメリカの5工場を閉鎖すると発表し、合計1万4千人が削減され、関連業界では数万人に影響が及ぶ可能性がある。
フォードはすでに北米でセダン型自動車生産終了を発表していて、国内ではSUVとトラックしか製造しない。
アメリカで言うセダンはスポーツカーやハッチバック車なども含む小型車を指している。
テスラは2018年に従業員の約9%に当たる3000人を削減したが、今年も3000人を削減したうえ中国で値下げを発表した。
テスラは生産台数が基準に達したため、アメリカでいわゆるエコ減税や補助金の類が段階的に撤廃される。
リストラによってコストを削減しながら生産台数を倍増させなければ、経営破綻する可能性がある。
ドイツ車も無傷ではなくVWは7千人削減、他にドイツ自動車業界ではEV化によって7万5千人リストラを予想している。
EVにはエンジンがなくモーターとバッテリーを搭載するが、それらは社外品で手作業が少ないので、全体として工場労働者は減らされる。
EV化すると日米独中といった自動車生産国では、いずれもエンジン生産に関わる大半の人がリストラ対象になる。
最近10年の自動車業界は世界の好景気を追い風に非常に甘い世界だったが、今後は反転して生存競争になるでしょう。
高度成長を続けた中国も2018年に自動車販売がマイナスになり、過剰生産が深刻になっている。