再生可能エネルギー発電容量が急増
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、2018年に世界で増加した発電容量の約65%を再生可能エネルギーが占めた。
この結果再生可能エネルギーは世界のすべての発電容量の3分の1を占めるに至り、さらに勢いが加速している。
2018年に再生エネルギーの増加率は7.9%だったが、その84%を太陽光と風力発電所が占めた。
従来型発電は年約115GW拡大しているのに対し、再生エネルギーは2018年に171GW増加したので、増加ペースは10倍を超えている。
予想を超えるすさまじい増加ペースであり、ここままなら数年で再生エネルギーが過半数を超えそうに思える。
だがこれらの数字は「発電容量」の話であり、365日太陽が沈まず照らし続けないと、全体の3分の1の発電量を得られない。
実際には太陽は夜には沈むし、曇りや雨や雪の日にはほとんど発電してくれない。
風力発電も同様で、理想的な風が吹き続けたらそれだけ発電できるが、風が吹いていない時間のほうがずっと長い。
では「理論値」ではなく現実の再生可能エネルギーは全世界でどれだけ発電したのでしょうか。
残念ながら全世界の最新の発電実績は集計されていないが、過去の統計から推測することは出来る。
自然エネルギー白書2017によると、2016年に自然エネルギーによる発電量が世界全体の24.5%でした。
「発電容量」には何の意味もない
だが2016年の再生可能エネルギー「発電量」(発電実績)では24.5%のうち16.6%を水力発電が占めた。
次が風力発電の4%、次はバイオマス2%、次は太陽光の1.5%で、風力と太陽光を合わせても5.5%に過ぎなかった。
2016年にも風力と太陽光は「発電容量」の10%以上を占めていた筈なのに、実際の発電量では5.5%だった。
2016年の数字から2018年の発電実績を推測すると、太陽光と風力の「発電量」はせいぜい10%未満でしょう。
水力発電を除く再生可能エネルギーの発電量は10%前後、プラス水力発電の15%ほどを加えてやっと25%超というところでしょう。
つまり風力と太陽光は「発電容量」が大きく増えたとしても、日照時間や風のないロスがあるので、設備容量分の発電はできていない。
世界の発電容量の33%を再生可能エネルギーが占めたのが事実でも、太陽と風力はほとんど電力を生み出していない。
例えば原発が100万KW、火力が100万KW、太陽光と風力も100万KWの「発電容量」だったとして、原発と火力は稼働している限り100万KWを発電する。
風力が理論通り発電できるのは理想的な風が吹いた時だけで、太陽光の場合は雲一つない晴天だけで、夜はまったく発電しません。