航空自衛隊のF35A戦闘機は4月9日に墜落したが、新たな「敵」が登場し、勝つことは困難かも知れない。
最近米下院議会で国防省関係者が証言したところでは、F35を1時間飛行させるのに約4万4000ドル(約460万円)かかっている。
これは機体本体や設備費、燃料費や改修費用などを除く金額で、整備費用と維持費だけでこのくらいかかっている。
1時間4万4000ドルは米空軍F15の約3倍で、航空自衛隊のF15JとF35Aの関係もほぼ同じになっている筈です。
米空軍は2025年には時間あたり3万6000ドルに削減できる見込みとしているが、まだF15の2倍です。
F22ラプターを生産終了した理由も整備費用や維持費の高さで、1飛行時間あたり4万4000ドル以上かかっていた。
F35は4万4000ドルなので少し安いかもしれないが、F22とほとんど変わらない事になる。
整備費用が高額だということは整備に時間がかかる事でもあり、F22は1時間飛行すると30時間整備が必要だった。
F35AとF22の維持費が同じ程度なのを考えると、F35も1飛行時間あたり平均20時間以上の整備が必要と思われる。
これを裏付けるような情報があり、米海兵隊のF35CとF35Bの稼働率はなんと「5%」だという。
海軍航空システムズ本部が16年から18年にかけて集計したもので、最新ではないが信頼性の高いデータといえる。
空母型F35Cの稼働率(任務実施可能率)は2%で、垂直離着陸型F-35Bも15%に留まった。
2018年の報告では、世界のF35(大半はF35A)の稼働率は5割程度なので、現状のF35Aは5割以上の稼働率にはなっていると考えられる。
米空軍の次期戦闘機はF15?
調査では稼働率が低い最大の原因は補修部品不足で、部品供給がうまく行っていませんでした。
2019年の米政府監査院(GAO)報告書では、2018年5月から11月に、F35の3割が部品不足で飛行できなかった。
報告書によるとF35(特にCとB)は現在も未完成で開発が続いているため、事前に購入してストックした部品の44%が使用できなかった。
つまり部品は買っておいたのだが、いざ使おうとしたら仕様変更で現在は使えなくなっていた。
またF35は国際分業で生産されているため、臨機応変な生産が困難だとしている。
これも航空自衛隊F35Aは同じ問題を抱えている筈で、日本はF35の部品を国内製造していない。
当然米軍からも自衛隊からも「これで良いのか?」という不満の声が上がり、F35以外の戦闘機が候補に挙がっている。
最も有望視されているのはなんと退役寸前のF15で、改修プロジェクトで2040年代まで使用する計画が存在する。
F15はステルスではないのでレーダーに映り、敵のミサイル圏内への侵入はできない。
その代わりに高性能な中長距離ミサイルを多数搭載して、発射したらUターンして逃げる。
また平時の監視任務にはF35より適していて、整備費用はF35の3分の1から半額と安い。
自衛隊はF15改修で延命するが、米空軍は新たに「F-15EX」100機以上をつなぎの戦闘機として導入する。
F-15EXは地上攻撃能力を持ち、最新の電子機器を搭載し高性能なミサイルなどを搭載できる。
F-15は双発エンジンなので単発のF35より搭載量に余裕があり、一度に大量の兵器を輸送できる。
航空自衛隊のF15は従来機の改修で済ませるのか、それとも米軍同様に新規調達するのかが注目される。