中国の習近平は勝ち目のない米中経済戦争に突き進もうとしているのかも知れない。
アメリカは5月に、中国からの輸入額の40%に相当する2000億ドルに対し、25%関税を実施しました。
さらに6月1日までに米中合意しなければ、5000億ドルすべてに25%関税を実施すると予告しました。
つい数週間前には、米中摩擦は沈静化するだろうという楽観論も出ていたが、事態は急展開している。
アメリカの強硬な態度に中国も報復を宣言し、米国からの輸入600億ドル分に最大25%の関税を課すと発表した。
去年中国は米国からの600億ドル分の輸入品に最大10%の関税を掛けたが、これを25%に引き上げる。
中国財政省によると原油や大型航空機は関税対象に含まれず、エネルギーや食料品がメインになる。
一見するとアメリカと中国は互角の戦いをしているが、米国は5000億ドルのすべてに25%、中国は600億ドルの一部に最大25%となっている。
また両国の貿易額はアメリカが中国から5000億ドル輸入しているのに対し、中国はアメリカから1000億ドルしか輸入していない。
中国は原油や大型航空機にも関税を掛ければ1000億ドルを制裁対象にできるが、これらは中国側が必要としている。
両国の輸入額は5000億ドルと1000億ドル、GDPでは20兆ドルと13兆ドルといずれもアメリカが上回っている。
通貨の決済シェアでは人民元は2%未満、ドルは40%、円は3.5%、ユーロは34%となっている。(19年5月)
米ドルの受け取りを拒否する国はないが、北朝鮮ですら人民元より米ドルで受け取りたがる。
米中対立で勝ち目がない中国
どんな要素を見ても中国側に勝ち目はなく、あるとすればトランプ大統領が退陣したり政治力を失うくらいです。
トランプはロシア疑惑など複数の捜査対象になっていて、今後弾劾されたり政治力を失う可能性は残っている。
中国は2018年にアメリカが対中関税を実施した時、報復関税を課して反撃しました。
中国は共産国家でありGDPの50%以上は国有や国営、少なくとも共産党や政府の「息がかかった企業」で構成されている。
中国政府は地方政府や支配下企業に、アメリカ製品のボイコットを指示し、このためアメリカが関税を掛けたのに対中貿易赤字は拡大した。
中国側としてはこれでトランプの失敗が明らかになり、外交方針を変えると考えたが、トランプは逆に制裁を強化した。
このパターンは第二次大戦の日本と米国の関係に似ていて、日本は初戦でアメリカ軍に大打撃を与えれば、アメリカ側から許しを乞うてくると考えていた。
だがアメリカでは初戦で惨敗したことで逆に好戦意欲が高まってしまい、日本は勝ち目のない戦いに引き込まれていった。
言ってみれば習近平の立場は東条英機に近いものがあり、どちらも官僚エリート出身なのでアメリカの議会政治を理解できなかった。
中国が唯一アメリカに対して優位に立っているのはアジアにおける軍事力と影響力で、アセアンや大陸諸国は中国にひれ伏している。
それも中国が経済成長しお金をばらまいているからで、お金がなくなったら「最後は金目でしょ」と言われかねない。