スルガ銀行が不正に手を染めた理由
スルガ銀行はシェアハウス騒動に端を発し、不正融資の合計が1兆円に達し、19年3月期は971億円の赤字になった。
独立して存続するのが困難になり、新生銀行および家電量販店のノジマと業務提携を発表しました。
シェアハウス騒動では本来客が支払う頭金を不動産屋が立て替えたり、不動産以外のオーバーローンも行われていた。
不動産ローンでは不動産本体への融資しか認められていないが、諸費用をローンに含めたり、「ついでに」多く借りるような例がある。
スルガ銀行は群馬の地方銀行ですが、多くの地方銀行は収益源が縮小し、厳しい経営を強いられています。
スルガ銀行の不祥事も本業で稼げなくなった銀行が、不正を知りながら手を出したと見る事ができる。
日経によると2017年末の銀行貸出金残高のうち、金利0%台の融資が全体の62%を占めていました。
なんと銀行融資の3分の2が1%未満で貸し出されていて、融資ではまったく利益が出ていない事になります。
銀行は立派な建物に高い給料の銀行マンがいて、ネットシステムなどにもコストがかかるので、1%未満で融資しても赤字です。
通常は預金を預かって金利を払い、集めた金を融資して金利を取り利ザヤを稼ぐのだが、このビジネスが消滅しました。
稼ぎがなくなったスルガ銀行は新たな収益源として「いかがわしい」シェアハウスなど不正融資に手を染めて、このような事態に至った。
むろんスルガ銀行は不動産屋が書いた申込書がウソであることを知っていたが、積極的に加担することで利益を得ようとした。
細る地方銀行の収益源
スルガ銀行の貸出金残高は3兆円程度なので、全融資の3分の1に相当する1兆円が不正融資でした。
むしろ不正融資が本業で、通常業務だけでは経営が成り立たなかったと見ていいでしょう。
スルガ銀行は来期は黒字転換すると言っているが、このまま経営破綻する可能性も小さくない。
メガバンクのビッグ3、三菱・三井・みずほ+郵貯ですら、預金と貸し出しで利益を出すのが困難になっています。
高金利だった時代の借り手は大企業が多かったが、現在企業は独自の資金調達をすることが多い。
過半数の融資が不動産対象で、例のサブリースやアパマン投資が多数含まれている。
今後有望と見られているのは富裕層向けの資産運用とか、投資銀行的な事ですが、もはや銀行では食っていけないのを示している。
IT化によって銀行そのものが不要になるという予想もあり、「消える職業」の上位にランクされるようになった。
窓口業務の大半はネット化や自動化され、キャッシュレスでATMも不要、預金も貸し出しも不要になりかねない。
スルガ銀行のような地方銀行は地域密着に存在意義があったが、もうその「地方」がなくなってグローバル競争になった。
現在国内に100以上ある銀行は、20程度に再編される可能性が高いと言われています。