ウーバーの未来は自動運転次第
配車アプリとライドシェアの米ウーバーが5月10日に株式上場し、マネーゲームと投機の舞台になった。
このマネーゲームで最も儲けたのはソフトバンクで、10兆円ファンドの一部を公開前に投資していました。
ウーバーは評価の浮き沈みが激しく、2016年には将来性が期待されて現在に近い株価で評価されていた。
2017年に経営問題や自動運転など数多くのマイナス材料が出て、底値に近い時にソフトバンクは約77億ドルを投資した。
上場初日の評価額は約107億ドル相当で、2年近くで30億ドルも儲けたことになる。
出だしは良好だがウーバーの評価は下がり気味であり、現在は自動運転という「未来技術」に望みをかけている。
ウーバーに体力がある間に自動運転が実現するかは五分五分で、実現しても他社が恩恵を受けるかも知れない。
グーグルやアップルやトヨタ陣営が実用的な自動運転を開発し、あらゆる企業に平等に提供したらウーバーに旨みは無い。
ウーバーは創業以来ずっと赤字で近未来も赤字だが、原因は運転手の報酬にある。
ウーバー運転手の報酬は一日も休まず働いても税引き後月収20万以下だが、ウーバー自身が低価格なので改善される見込みは無い。
客がウーバーを利用するのはタクシーより安いからだが、自動車の運用コストはタクシーと同じなので、削れるのは運転手の報酬だけになる。
タクシーは年間10万キロも走行するので車両にかかるコストが大きく、ここはタクシーもウーバーも同じくらいかかる。
それだけ運転手の報酬を削っても赤字なので、ウーバーの将来に悲観的な予想をする人が増えている。
ウーバー黒字化は将来も難しい
完全自動運転に成功すれば運転手が不要になり、大幅なコストダウンに成功して黒字化するというのがウーバーの言い分です。
だがその時は他の配車サービスも無人化し、ライバルのタクシーも無人化する。
自動運転技術については、はっきりいえば現在の一般道路で完全無人運転するのは不可能でしょう。
車道を歩く歩行者や自転車を一掃し、他の車両が前をブロックしたり横から割り込まない構造にすれば、すぐに可能かも知れない。
つまり高速道路のような自動車専用の単純な構造なら可能だが、あらゆる車両や人間、犬や猫やセグウェイが走る道路では実現不可能です。
自動運転のカメラは天候にも左右され、今までに起きた事故の多くが逆光や夜間、雨や雪など視界不良時だった。
最先端技術は航空機や防衛産業が先行するが、いまだに自動で離着陸する航空機や、自動で動き回る米軍の兵器は存在していない。
(無人機はパイロットが無線操縦していて、巡航ミサイルは設定されたコースを飛行している)
米軍が完全自動運転の航空機や車両を実用化したら、その20年後くらいに民間でも実現するでしょう。
ウーバーのコストの80%が運転者の報酬で、運転者はここから車両の経費(年数百万円を自己負担)している。
ウーバーの問題点は売り上げを増やすと経費も増える事で、例え無人化しても車両コストは安くならない。
これは他のネット企業と違う点で、インターネット上のサービスは売り上げが10倍に増えてもコストは1.5倍にしか増えない。
ウーバーが売り上げを2倍に増やすには車両を2倍に増やすしかなく、コストは2倍以上に増えてしまう。
車両を増やすと運転者の確保が困難になり、報酬にボーナスをつける必要があるからです。
このようにウーバーの黒字化は難しく、しかもタクシーには国家間の権益が絡むため、アメリカ以外ではほとんどサービスができない。