車種が増えすぎ高コスト
このところホンダの業績が芳しくなく、19年3月期は利益率が大幅に低下していました。
売上高15.8兆円は3%増で過去最高だったが、営業利益は12%減の7263億円に沈んだ。
この結果利益率はわずか1.2%で、トヨタの8.2%に遠く及ばなかった。
この傾向は日産にも見られ、19年3月期は2.7%だったが、金融部門の利益を除くと0.9%にすぎなかった。
ホンダ4輪部門は売上高11兆2877億円だったが、営業利益は44%減の2096億円なので、利益率は1.85%だった。
ホンダ2輪は世界で2020万台を販売し、営業利益率は第1四半期16.6%、第2四半期15.8%、第3四半期13.5%と高かった。
4輪の利益率は2輪の10分の1以下に過ぎず、経営陣は危機感を募らせている。
4輪が儲からない原因は一つにはEVやHV、CAFE(電動化やIT技術)のような新技術開発に多額のコストが掛かっている。
原因の2番目はこの20年ほどホンダが取ってきた販売拡大戦略で、台数が売れれば高コストで良いという体質になっていた。
ホンダの2018年生産台数は535.7万台で、1988年は316万台、1998年は357万台、2008年も357万だった。
2008年はリーマンショックの影響で前年比9.6%減だったとはいえ、最近10年間で200万台(56%)も生産台数を増やしている。
生産した車は売らなくてはならないが、世界で売るために各国に合わせた車を作ったり、車種を大幅に増やしました。
昔のホンダはシビック、アコードくらいしかなかったが、現在は数えきれないほどの車種が存在する。
台数を追い求め高コストに
セダン、SUV、ミニバン、スポーツカー、HV、軽自動車とラインナップが増え、それぞれに合ったエンジンを開発した。
シビックとアコードと軽だけだった時代の何倍も車種が増えたので、その分開発費も増え生産効率が悪化した。
トヨタやVWはほとんどの車種を共通化しているが、ホンダは車種ごとに別々に設計しているという。
乱暴に言えばトヨタはセダンの「カローラ」や「カムリ」のボディとエンジンを乗せ換えて、SUVやミニバンやスポーツカーとして売っている。
どれだけ見た目が違っても基本部分は同じなので、生産台数が増えるほど量産効果で利益率が向上する。
ホンダは車種ごとに独自に設計開発していて、アコードという一つの車種から、無限に形態変化するようになっていない。
この辺は今後設計の共通化を進めて車種を3分の1に整理し、10%の生産コストダウンを図るとしています。
これも実は日産と同じで日産は536万台、ルノー三菱と合わせた世界販売は1059万台を1千万台を達成した。
だがゴーンの拡大戦略の副作用で高コスト体質になってしまい、アメリカでは大幅値引きで大安売りをしていた。
世界経済は今後数年間停滞が予想されていて、拡大路線で高コストな企業は赤字転落しかねない。
ホンダと日産は今後、台数増加よりもコストカットで合理化を進めなくてはならないでしょう。