世界的なコーヒーブームによってコーヒーの需要が増加し、日本でのコーヒー消費量は増加している。
国内消費量は平成10年に35万トンだったのが、平成30年に45万トンに増加していました。
喫茶店では1杯400円のコーヒーが飛ぶように売れ、コンビニなどでは100円コーヒーが売られている。
ところで日本人が100円から500円で飲んでいるコーヒー代金のうち、生産者や労働者に渡っている金額は1%前後でしかない。
1杯のコーヒーを入れるには約10g必要だが、2018年にアラビカ豆は1ポンド(453g)1ドル以下で生産者から買い付けている。
このコーヒー豆10gを使って1杯400円のコーヒーを売ると、生産者が受け取るのは2.2円ほどになる。
コーヒー豆価格は2019年になってさらに下落し、世界の多くの農家はかけた費用以下の価格で販売している。
コロンビアの山岳地帯で栽培されている最高級の生豆は、1袋(12.5キロ)平均21ドル(約2300円)で買い取られている。
計算すると10gあたり1.84円という事で、例えばカフェで最高級の豆で淹れたコーヒーを注文しても、農家に支払われるのは2円以下です。
コーヒー農家の貧困は以前世界的な問題になり、解決策としてフェアトレードが広まりました。
国際フェアトレード認証ラベルというものが公正に取引された証として張られ、「フェアトレード認証製品」として販売されています。
ところがこのフェアトレード導入によって、コーヒー豆価格がさらに下落し、農家はさらなる貧困に貶められました。
フェアトレードなのに価格下落
フェアトレードなんだからコーヒー豆を高値で買うような気がしますが、事実はまったく逆でフェアトレードでさらに値下がりしました。
コーヒー豆は10g2円ほどに下落したのですが、フェアトレード導入前はその2倍はありました。
最低保証価格は1ポンド当たり140セントで有機認証だと170セントなのですが、これは10g4円以上になる筈です。
ところが実際にコロンビアなどでフェアトレード認証を受けた生豆が、10g2円以下で買い付けされ、日本やアメリカのカフェでは一杯400円で売られています。
こうした事実を見るとフェアトレードは現実の生産地では有名無実で、「フェアトレードしている」というアリバイ作りに利用されているようです。
コーヒー豆農家と日本のお茶農家を比較すると、コーヒー豆がいかに狂った市場なのかが分かります。
農水省などによると日本の茶農家の平均所得は1000万円ほどだが、家族数人でやっているので1人当たりの年収は日本の平均を下回っている。
これは問題だと農水省は言っているのだが、世界のコーヒー農家と比べると夢のような高収入です。
コーヒーと緑茶の栽培はどちらも難しく、豆と茶葉の価格もあまり変わらない。
スーパーで売られている茶葉は100g500円くらいで、コーヒー豆は200g500円くらいでしょう。
お茶一杯分の茶葉は約2g、コーヒー一杯分の豆は約10g、一杯分の小売り価格としては茶葉のほうが安いです。
にも拘わらず茶農家は一人年収数百万円、コーヒー農家は年収10万円程度だったりするのです。
違いは日本の茶葉は農協や農水省、あるいは販売業者が直接買い取っているが、コーヒーは世界的な農業メジャーが仲介している事です。
コロンビアのコーヒー豆農家を救えるのは、もしかしたら日本の農水省の役人かも知れません。