SNSのフェイスブックが公開予定の仮想通貨「リブラ」は世界で激しい論争を巻き起こしている。
同様の仮想通貨は星の数ほどあり珍しくないが、各国政府までもがリブラを規制しようとしている。
リブラが他の仮想通貨と異なるのは一番目にフェイスブックが20億人のユーザー数を持っている点です。
最も有名なビットコインには発行者も管理者も居ないので、単純に売買によって価格が変動する。
だがリブラはフェイスブックが中央銀行のように管理可能で、ドルや円に対していくらになるかも調整可能です。
発行量を調整すると1リブラ1ドルにもできるし1リブラ1万ドルにもでき、自分で売り買いして価格調整もできる。
第二にフェイスブックは世界でサービスする企業で、リブラは国家を超越した世界通貨になる。
ビットコインが脱税や犯罪者に利用されているのはまぎれもない事実で、暗号化されているので追跡捜査は不可能です。
現在まで暗号化された通貨の送金先や受取人を特定できた例はなく、完全犯罪の手段になっています。
第3にフェイスブックは個人情報侵害や世論操作、フェイクニュースで度々違法行為をしている問題企業です。
トランプの大統領選ではCEOのザッカーバーグ自身が世論操作を指示し、民主党には良いニュースだけ、共和党には批判記事だけを掲載させていました。
はっきり言えばザッカーバーグとフェイスブック幹部には公衆道徳が欠如していて、金儲けと権力欲しかない。
こんな連中を「世界銀行」にしてはならないと言うのが、反対派の主張です。
企業が国家を支配する時代は来るか
仮想通貨はネット上だけの通貨なので、システム運営費を除くとコストゼロで発行が可能です。
発行すると通貨には価値が付与され、例えば1兆円を発行すればフェイスブックは1兆円を得ます。
10兆円でも100兆円でも需要がある限り発行可能で、無限にお金を生み出すことができる。
これがフェイスブックの狙いであり、実現すればSNSで稼いだ金が「はした金」に思えるほど稼げるでしょう。
こうなると国家が発行する通貨はフェイスブックによって支配されるようになり、フェイスブックが値付けするようになる。
例えばザッカーバーグが「アメリカを屈服させるためにドルを下落させよう」と1リブラに対するドルレートを下げる事も可能になる。
国家と企業の立場は逆転し、アメリカや日本がフェイスブックから指導を受けるようになる。
国家としては無制限な仮想通貨を認めることは出来ず、規制しなくてはならないという議論になっています。
ただし国家が発行する通貨は不自由であり、国民を食い物にして拘束している面もある。
国をまたいで送金すると1割も引かれ、為替交換すると1割引かれ、保有していると為替差損でまた損をする。
インフレ国では自国通貨を保有しているだけで毎月損をするが、嫌でも他に選択肢がなかった。
そうした不満を解消するのが仮想通貨だが、特定の企業や人物が意のままに操ったら大変な事になる。