日本は過去25年平均1%台の経済成長しかなく、高度成長は過去の話になっている。
中国は10%超の高度成長時代が終わったが、まだ年6%以上の高度成長を持続している。
中国は輸出バブルが崩壊して消費もそれほど伸びていないが、一体何でGDPが増えているのでしょうか。
中国国家統計局によるとGDP内訳はは第1次産業が7.2%、第2次産業が40.7%、第3次産業が52.2%だった。
中国は2000年以降、投資(総固定資本形成)がGDP成長の5割以上だったが現在は50%を割り込んでいるようです。
固定資本形成は「政府および民間による公共事業、建設・住宅投資、設備投資など」で、ザックリ言うと政府による公共事業が大半を占めています。
中国でも消費型社会に移行しているとされていて、GDPの40%以上が個人消費になっています。
中国は計画経済なので年度前に「今年のGDP目標」を発表し、例えば2019年は6.5%と発表されています。
固定資本形成つまり公共事業費は数年前に債務削減を試みて減らしたが、最近の不況で依存度を増やしている。
中国のGDPを仮に1500兆円とすると、700兆円以上は固定資本形成で、内訳は「民間設備投資+民間住宅+公共投資」です。
2009年から10年間の総資本投資は446兆元(約66兆ドル)に達し、投資効率が大きく低下しています。
投資効率は何兆円の民間公共投資をしてGDPが1兆円増えるかを表す数字で、2007年には2.9だったが、17年に6.8に悪化した。
中国の公共事業と公的債務
投資効率は以前は1.0を下回っていたのだが、例えば中国が今年6.5%(約100兆円)成長するには、GDPの44.2%(630兆円)の官民投資が必要になる。
1990年代前半の中国は1兆円成長するのに数千億円の投資で済み、自律的な高度成長をしていました。
日本などの先進国では投資効率が2倍程度なので、日本が1%成長するにはGDP比2%の官民投資が必要になります。
ところで日本や欧米諸国は国の公共事業が少なく民間投資が多いですが、中国は逆に大半を公共投資(公共事業)が占めています。
1年で500兆円も公共事業をして100兆円しかGDPが増えなかったら、使ったほとんどが公的債務になってしまいます。
これが中国の債務問題で、欧米経済メディアの試算ではGDPの3倍以上に達していると言われています。
公共事業の債務が毎年数百兆円増えているとしたら、誇張ではなく中国の公的債務は5000兆円程度に達しているでしょう。
もし中国の公的債務が思ったより少ないとしたら、投資していないのでGDPが公式発表より少ないのを意味しています。
中国の公共事業と言うのは利用客がゼロに近い高速鉄道を10兆円もかけて建設したり、毎年日本の総延長に匹敵する距離の鉄道を建設したりします。
採算性の良い鉄道路線は満州鉄道の時代に引いてしまったので、最近建設した鉄道は全て赤字で、特に高速鉄道は全路線赤字です。
中国は巨大都市建設が好きですが、空港や都市建設もすべて赤字、それでも公共事業をすることでGDPに計上しています。
例えば10兆円で新都市を建設しインフラ整備したら、10兆円という資産価値が産まれ、外国からの投資や銀行などから10兆円が集まります。
その10兆円が社会を巡って労働者の賃金になり消費に回り、ネット消費が増えたりしています。
結構なことだが丸ごと借金として残っている建設費10兆円は、一体だれが返すのでしょうか?