日本の個人金融資産は過去最高の1800兆円超に達し、国民一人当たり1400万円に達しています。
赤ん坊から老人までなので労働世代の夫婦では3000万から4000万円以上の個人資産を持っている事になる。
ところが現実にはそうではなく、30代以下の全世代で金融資産がマイナス、40代でトントン、プラスは50代以上だけでした。
しかもこうした調査は単身者や貧困者などを最初から除外してあるので、実際より良い値が出るようになっている。
カードローンワイズの調査では貯金額の平均が300万円台だったが、過半数は100万円以下でした。
貯金額が30万円以下のほぼ貯金ゼロは30%以上いて、これは欧米や世界でも共通の現象です。
国民一人当たり平均1400万円の個人資産とは乖離どころか断絶していて、普通の日本人には当てはまりません。
ごく一部、人口の0.01%にも満たない人たちが、数百億円という個人資産を所有して平均を釣り上げています。
アメリカでは1万人の富裕層が米国の資産の半分を所有しているなどと言われるが、日本も富の偏在化が進んでいます。
野村総研によれば日本で資産1億円以上の富裕層は126万世帯、5億円以上保有は8万世帯でした。
日本は相続税が高いが、資産以外に教育や身分、特権などが世襲され、結果として貧困と富裕の格差も世襲される。
2015年のフォーブス調査では日本では資産1000万円以上は5079万人、100億円から500億円は702人でした。
500億円から1000億円は33人、1000億円以上は14人で柳井、孫、三木谷らIT長者の名前がある。
「平均」はまったく無意味になった
上位の人たちはもちろん資産プラスだが、資産1000万円未満の7000万人の多くが、実際には資産がマイナスと見られている。
というのは多くの労働世代の成功者は一戸建てやマンションを購入しローンの返済中であり、ローンは借金だからです。
こうした成功者はカッコいい自動車を保有しているが、これもローンで購入し、自動車に年70万円から100万円以上支出しています。
男性の年収が高いほど婚姻率が上がり子供の人数が増えるが、子供一人を有名大学まで育てるには2000万円かかる。
簡単に計算してもマイホームを建てて高級車に乗り、子供2人を有名大学に通わせるには、20年間で1億円はかかります。
一見成功者に見える家の内情が火の車というパターンが多く、年収500万から1000万円くらいの人が贅沢をすると破産しかねません。
まして年収500万円以下や300万円以下の人は家計がギリギリの筈で、国民の過半数は資産ゼロどころか実質マイナスなのです。
これが消費にも悪影響を与えて個人消費が減り、ひいては日本のGDPが増えない原因にもなっています。
1990年代前半までは「給料は必ず増えるもの」だったので、借金も財産のうちと言って住宅と高級車を買っていました。
今やそんな時代ではなく「給料は一生増えないもの」なので、なるべく支出を切り詰めて生活するようになっています。
個人資産1800兆円とはいったいどこに存在するのか、どこにも無いというのが日本の現状です。