日米ではそれぞれ、小さな政府論が国民から圧倒的な支持を受け実行されたが。惨憺たる結果に終わった。
アメリカではレーガン大統領、日本では小泉首相が小さな政府を提唱し、多くの人が賛成して実施した。
政府を小さくすればコスト削減になり、少ない税金で大きなサービスを受けれるという一見正しそうな主張でした。
マクドナルドなどファーストフードチェーンでは、徹底的にコストカットし、低価格で良い商品を提供している。
小泉首相や竹中大臣の主張もこれとまったく同じで、中間コストをカットすれば税金を少なくし手厚い福祉が可能な筈でした。
それから15年が経った現在、両氏の政策失敗は明らかで、税金は重くなり福祉は軽くなり、ブラック労働が蔓延しています。
小さな政府論の中核は規制撤廃で、小泉首相やビルクリントンは規制をなくせばすべての人が幸福になれると言っていました。
だが日本ではあらゆる産業の規制が撤廃や緩和された結果、デフレが発生し毎年給料が下がり労働者は奴隷のような身分に貶められた。
有名企業の社長が従業員に「しぬまで働け」「働けるのを感謝しろ」と言っていたのが、この時代を象徴していました。
国民全員がしぬまで働いて過労死が続出し、それでも食べていけずに路上生活者が溢れました。
より正確にいえばこの時代に富裕層が激増し、100人に1人以上が富裕層になったかわりに、中間層がなくなり貧困層が激増しました。
政府という「中間コスト」を減らしたのに、どうしてマクドナルドのように復活しなかったのでしょうか?
政府はマクドナルドではなかった
まず規制を緩和すればするほど日本人の給料が下がりましたが、これはタクシーとトラック業界の例で簡単に説明できます。
1990年代以前の日本ではタクシー・トラック業界とも台数制限があり、過当競争を防いでいました。
100台の仕事がある地域には100台の導入しか許されなかったので、価格競争はなく消費者は高い料金を取られていました。
橋本首相の頃に台数制限が緩和され、100台分の仕事しかないのに200台や300台が導入され激しい競争を始めました。
同業他社が増車したら自分も増車しないと客を奪われるので、同じ地域で一斉に車両数と運転手数を増やしました。
だが仕事は昔と同じ100台分しかないので、当然運転手一人当たりの給料は半分になりました。
あらゆる産業で規制緩和した結果、あらゆる産業でデフレスパイラルに陥って、あらゆる労働者の給料は半減しました。
規制緩和の結果、残業代を払わずに倒れるまで何日も連続で働かせるのが合法になり、死者が続出しました。
「規制を緩和する」とは商品やサービスの価格が下がることで、規制を緩和して値段が上がったらみんな怒ります。
日本は90年代からデフレだったのに、物の価格を下げる規制緩和をやってしまったのが「小泉、竹中」でした。
労働者の収入が激減した一方で株価が上がって資産価値が増大し、富裕層が激増したのもこの時代でした。
結局規制緩和とはデフレを悪化させて中産階級を貧困者にし、富裕層を超富裕層にしただけでした。
むろんこれを実行した政治家たちは超富裕層になり、イケメンの息子は相続税すら払っていません。
なお景気が良すぎてインフレの国では、規制緩和で物価を下げると経済が良くなる事がありますが、日本には関係ありません。