自由化で赤字だからと、駅も郵便局も電気も水道もなくしたら、その町は人口ゼロになります
こうした事が日本中の田舎で実際に起きています
画像引用:http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/a9/32a2bd922d2004896ddcaa8c9ef289e8.jpg
自由化の始まりは国鉄民営化
1980年代後半からの日本では自由化、民営化、規制緩和、行政改革など規制をなくして自由化しようという流れでした。
その始まりはおそらく1985年のプラザ合意で、一夜にして(実際は2年かかったが)円の価値が2倍になり円高不況になった。
今米中は貿易不均衡で対立しているが、1985年のレーガンはトランプのように激怒して、円の価値を2倍にしてしまいました。
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2倍円高になると例えばアメリカに輸出する車も2倍高くなってしまい、輸出大国日本は経済崩壊します。
そこで中曽根首相がはじめたのが「民間活力の導入」で早く言えば規制を撤廃して自由化する政策でした。
最初の民営化は国鉄民営化で、中曽根はあらゆる反対を押し切って1987年(昭和62年)4月1日にJRを発足させました。
日本国有鉄道は1949年(昭和24年)発足だが、1920年(大正9年)の鉄道省を形式上別組織にしたものでした。
それまで日本の鉄道は民営だったが、1906年(明治39年)国有化で国の所有物になった。
国家予算を投入し軍が建設や運営に関与するようになり、日本中に鉄道網が敷かれたが後に赤字の原因になった。
1980年代の国鉄は赤字製造機になっていて、国鉄債務10兆円をどうするかが政治問題になっていた。
中曽根は国鉄を民営化し赤字解消を図るとともに、自由化で経済を活性化させようと考えました。
中曽根の狙いは的中し、不動産や金融の自由化なども行われたので、空前の好景気になったがバブルを引き起こした。
安倍政権でもデフレなのは自由化しているから
1991年にバブルが崩壊し、自由化によってバブルが発生したのだから、本来はこの時「規制強化」するべきでした。
だが規制緩和や自由化で景気が良くなった成功体験を忘れられず、日本はその後20年以上も規制緩和と自由化を進めました。
規制緩和や自由化は今まで不自由だった制度を自由にするので、物の値段を下げる効果があります。
日本はバブル崩壊でデフレだったのに、自社政権や連立政権は次々に「規制緩和」をしてハイパーデフレを招いてしまいました。
自由化によってデフレが悪化したのに、政府はそれに気づかず、「自由化すれば景気が良くなる」と考えてもっと自由化したのです。
今の安倍政権も同様で、「規制緩和を強力に進める」と言いながら「物価上昇率2%を達成する」とも言っています。
これは「ブレーキとアクセルを同時に踏んで速度を上げる」ような事で、実現するはずがありません。
安倍政権は一方で物価を上げようとしながら、もう一方で物価を下げているからずっとデフレのままです。
自由化は必ず良い事で、悪いことなど一つもないと思われているが、実際には自由化して失敗した例は成功例と同じくらいあります。
まず元祖自由化の国鉄民営化ですが、民営化したら国鉄債務はどこかに消えてなくなり、黒字経営でとても良い事に思えます。
その代わり赤字路線は次々に廃線になり、全国の町が「鉄道がない地域」になり過疎や廃村になっています。
北海道と四国はほぼすべての路線が赤字なので、企業経営だけでいえば全路線が廃線になります。
物価が上がらないのは安倍首相が規制緩和と自由化で物価を下げているから。
黒田総裁が何をやっても無駄です
間違った自由化の失敗例
ここで考えなくてはならないのは、北海道と四国の全鉄道を廃止したら、おそらく北海道と四国は急速に過疎化が進み、人口が急減することです。
その結果北海道と四国の生産と消費は半減してしまい、結局日本は前より貧しい国になります。
合理主義のアメリカでは全鉄道路線のほとんどが赤字だが、国や州や軍がお金を出して路線を存続しています。
赤字だから廃線にしていたら鉄道がなくなってしまい、かえって経済力が低下してしまうからです。
北海道と四国の鉄道を廃線にするのと、再国営化して地域経済を発展させるのと、どちらが良いかは難しい問題です。
次に小泉改革の目玉だった郵政民営化ですが、結局10年経っても国が株式を保有する国有企業のままです。
どうして完全民営化しないかというと、鉄道と同じく赤字郵便局を廃止すると地域が崩壊し、日本全体として貧しくなるからです。
郵便局すらない村に誰も住みたくないと思いますが、日本の半分でそうなったら日本経済は崩壊します。
既に明らかなようにクロネコヤマトや佐川急便は郵便局の公的な役割を果たせないし、銀行は支店やATMを廃止しています。
「自由化したら必ず良くなる」は間違い
次の失敗はバス路線で、路線バスの旅という人気番組では、分断された路線を乗り継いで目的地に向かっていました。
日本の路線バスがズタズタに分断されている理由は、間違った民営化や自由化の結果です。
日本以外の国では路線バスで国中のどこにでも、鉄道の半額ほどで行けるが、世界で日本だけ鉄道の2倍の料金で分断されています。
原因は地域ごとに小さなバス会社が運航しているからで、バスこそJRのような広域組織や国鉄が必要です。
もし全国のバス会社を統一して「日本国有バス」やJRバスにしたら、乗り継がずに本州縦断できるようになり番組が成立しなくなります。
最近政府は電力自由化を推進していますが、本当に東電などを解体して自由化したら、日本人は酷い目に遭います。
まず東電がなくなったら福島原発の解体費用や保証金は誰も払わなくなり、「自己責任」で処理する事になります。
電力自由化したあらゆる国で電気料金が2倍以上になっているので、自由化後の電力料金は2倍になります。
しかも自由化した国では停電が頻発し、もうからない家には送電せず、電気がない地域も出てきます。
水道ももし完全自由化したら、利益が出る地域だけ送水し、儲からなければ水道を廃止します。
実際アメリカではこうなっているので、日本だけ例外ということはありません。
自由化して成功するのは大体人口が多い都会で、田舎でやったらサービス低下で住民が逃げ出します。