数年前から沖縄県の宮古島ではホテルなどの建設ラッシュが続き、地価や人件費などが高騰している。
キーワードは「観光」「尖閣」「自衛隊」で、訪日外国人によるインパウンド消費かと思いきやそうではなかった。
宮古島空港の出入国数を見ると、2016年の外国人利用者は1550人なので一日あたり5人ほどに過ぎない。
2017年の宮古島観光客数は98万人だったが、このうち24万人がクルーズ船観光客で、12万人は船の乗員だった。
宮古島に来るクルーズ船のほとんどは外国船で乗員も外国人、中国、台湾、香港などが多かった。
隣りの石垣島では観光客の14%が外国人で、外国人のうち韓国人の占める割合は2%から4%に過ぎなかった。(平成29年、29年石垣市入域観光推計表)
石垣市の推測では日本人を含めた石垣島の全観光客に占める韓国人は、0.5%以下に過ぎないので「島は韓国人で溢れている」ような事はありえない。
宮古島も同様で、宮古市では外国人観光客数の統計を取っていないが、石垣市より少ないと推測できる。
宮古島にバブルを起こしたのは外国人観光客ではなく、クルーズ船客は宿泊しないのでホテル建設も起きない。
宮古島で宿泊する観光客の多くは日本人で、大型空港がある離島として訪問する人が増えている。
離島観光がブームだがほとんどの離島にはまともな空港がないので、短期間の日程では行きたくても行けない。
宮古島空港は国内空港から国際空港に格上げされる予定で、国による投資も積極的に行われている。
羽田空港、関西国際空港、中部国際空港から観光客が押し寄せて、宿泊客目当ての大型ホテルが次々と建設された。
宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋が一番の人気スポットで、開通前に坪2千円だった周辺地価が開通後は坪100万円になったという。
建設ラッシュで本土から関係者が来るので、賃貸料金も2倍に跳ね上がり東京並みの1ルーム10万円だという。
尖閣と辺野古が国の目を宮古島に向けさせた
国の宮古島重視が始まったきっかけが2010年から12年の尖閣騒動と、現在まで続く沖縄辺野古反対運動でした。
中国は空母1隻を保有し将来は原子力空母など5隻以上を保有する計画を持ち、標的の一つは尖閣諸島とみられている。
これに対処する航空自衛隊の沖縄基地は400キロ以上離れていて、基地にミサイルを撃ち込まれると九州から発進するしかなくなる。
そこで政府は石垣島、宮古島、下地島など尖閣諸島に近い離島の空港を整備して、戦闘機を運用したいと考えている。
そのための短距離離着陸機がF35Bで、いずもを空母に改造と言っているが本命は離島での運用になる。
空母型護衛艦を数隻と、離島の空港で運用するF35Bを合計したらかなりの数になり、中国の空母群に対抗できる。
離島で戦闘機を運用するには様々な地上施設が必要で、関係者が宿泊したり利用する施設も必要になる。
どうせ空港機能を拡大するなら国際空港にしてしまえという訳で、宮古島空港や宮古島駐屯地を中心に投資が行われている。
これには辺野古基地建設に反対する沖縄県の態度も関わっていて、国は沖縄で軍事投資をしたいが反対する自治体ではできない。
石垣島や宮古島のように政府に協力的な自治体には、反対する自治体の分も多くの補助金が投入される。