2019年になって世界の主要国ほとんどの首相や大統領が「自国優先主義」を打ち出し敵対する国を排除する政策を取っている。
米中、日韓、英仏独、インドやフィリピンやブラジルやミャンマーですら排外的な政策を取っている。
この自国優先主義だが、果たして外国を排除して自分の都合を押し付けるのが自国の利益なのか、大いに疑問がある。
例えば韓国は「北朝鮮への密輸をやめろ」という日本に反発し、事実上の断交のような態度を取っている。
北朝鮮への密輸での利益と日韓貿易の利益を比べれば、北朝鮮への密輸など辞めて日本との貿易を拡大するのが国家利益になる。
だが韓国の大統領府は国益に反して日本と断交し、経済的にも軍事的にも不利になる北朝鮮への接近を選んだ。
米中対立ではアメリカが「不公正貿易をやめて貿易黒字を減らせ」というもっともな要求をしたが、習近平は拒否している。
これも中国の国益を考えれば、アメリカの要求に少しずつ譲歩して、なるべく制裁を回避したほうが良い。
だが習近平はカッコよくアメリカの要求を跳ね除け、「超大国中国」の威厳を保つのを選んだ。
トランプは中国を制裁しているが、世界の貿易額が減ることでアメリカ自身も打撃を受け、少なくとも制裁しない場合より経済が停滞する。
本当にアメリカ優先主義ならば、米経済に打撃を与えない範囲で、もっと穏やかに事を運んだ方が良かった。
このように各国が言っている自国優先主義は、実際には自国優先でもなんでもなく、大統領や首相の腹いせとかプライドを保つために過ぎない。
北朝鮮に至っては、やることなす事すべて国益を損なっていて、自国破壊主義でしかない。
米中対立で合理的判断ができない中国
中国は19年8月23日、9月1日に対米追加報復関税を発動すると発表しました。
米国からの輸入車に25%、米国産の大豆と原油に5%など、トランプが不公正貿易と批判していたものが含まれている。
これにトランプ米大統領は8月23日同日、中国への報復として対中制裁関税第4弾を実施すると発表した。
大統領はツイッターで、中国が報復するなら第4弾の制裁を科すと以前から警告していた。
追加関税は10月1日から今まで25%だった品目は30%に、さらに3000億ドル分の輸入製品に15%の関税を課す。
こうした第4弾対中制裁はブルームバーグのエコノミスト調査によると、中国のGDPを6%未満まで引き下げる。
制裁なしの場合と比較して中国のGDPを0.5%低下させることになるが、アメリカのGDPも低下せざるを得ない。
だが貿易依存度はアメリカが低く、GDPはアメリカが大きいので、制裁合戦で受けるダメージは中国よりも少なく済む。
こうした制裁合戦でアメリカ側に合理性があるとすれば、それは中国を潰すことで将来も超大国の座を守れる点でしょう。
今までのペースで中国が経済成長するといずれアメリカと並ぶが、実際の中国はGDPを偽装したり債務を増やして公共投資している。
中国の公的債務だけでGDPの3倍以上で、家計債務や金融債務、企業債務を含めると、資本主義国なら破産している高水準です。
トランプ政権は今が中国を潰しアメリカの超大国の座を守る、絶好の機会と捉えているのかもしれない、
中国はアメリカに頭を下げてでも貿易を続けた方が良いが、習近平のメンツを損なうのでそれができない。
このように「自国優先主義」は政治家個人のメンツやプライド、ライバル国を蹴落とす目的で行われている。