韓国の文大統領は8月24日が期限だった日韓軍事情報協定(GSOMIA)更新について、22日に破棄の決定をし翌日日本に通知した。
この協定は北朝鮮の弾道ミサイル発射に日米韓が協力するために情報を共有するもので、韓国は日本に情報を渡さず日本からの情報も得られなくなる。
日本から北朝鮮まで2000キロ以上離れているため、高度が上がるまで地上レーダーで探知できず、AWACSなどはいつも日本海を飛行している訳ではない。
そこで北朝鮮が弾道ミサイルを発射すると探知可能な韓国軍か米軍から発射情報が伝わり、日本は迎撃ミサイルなどの発射準備をする。
一方韓国は偵察衛星を保有していないので、北朝鮮のミサイル基地情報などを日本から提供していた。
また韓国軍はミサイル情報の分析能力が劣っているので、情報を受け取った日本が分析し、また韓国軍に提供していたとも言われている。
破棄の理由について韓国大統領府の金鉉宗は、8月15日の光復節大統領演説に対して、感謝を表明しなかったからだと説明した。
光復節で文大統領は「日本が対話と協力の道に出れば、我々は喜んで手をつなぐ」と発言した。
だがこれはおかしな話で、日本側は「韓国がやっている北朝鮮への軍事物資密輸に対して、優遇措置を廃止した」と説明していました。
日本側は韓国に対し、北朝鮮への密輸をやめるよう要求したが、韓国側は一切無視し拒絶し続けています。
同時に日本は韓国に対し、日韓基本条約や慰安婦合意など、韓国が過去に日本と約束した合意を守るよう要求している。
韓国はこれも突っぱねて拒否しているが、日本に対してだけ貿易優遇措置を再開するよう要求している。
これで日韓が「喜んで手をつなぐ」としたら、安倍首相は韓国のスパイだったと言うしかない。
協定(GSOMIA)破棄は日米が仕掛けた?
韓国は日本のせいで軍事協定を破棄したと主張しているが、考え方によってはこの指摘は当たっているかも知れない。
というのは日本政府は「驚いた」と言いながらあまり驚いておらず、むしろこうなる事を期待していた節がある。
日米韓のもう一か国のアメリカは韓国に依頼されたにもかかわらず仲裁しようとせず、破棄を知ってもあまり驚いていない。
韓国大統領府は8月22日、GSOMIA破棄を事前にアメリカ側に伝え合意を得ていたと発表しました
だがポンペオ米国務長官は米国が理解を示したという説明に、「嘘」だと指摘し「駐米韓国大使館と韓国外交部に抗議した」とも発言した。
また韓国が破棄を発表する前に何度も自制を促し、米国と同盟国の安全保障に悪影響を与えると説明したとも話した。
これに対して韓国大統領府は「米国はGSOMIAの維持を望んでいただけで、絶対に終了してはならない」とは聞いていないと説明した。
なんだかオウム真理教の上祐氏の「ああ言えばこう言う」を連想するが、確かにアメリカ側も「真剣に」破棄を止めようとはしていない。
日本政府に至っては破棄の前も破棄を知った後も無反応で、韓国側に「反日デモを止めるように」伝えただけだった。
こうした状況から実は日米ともに韓国側からGSOMIAを破棄するのを望んでおり、実際に破棄したのでほっとしているという見方が出ている。
日米が問題にしているのは韓国がGSOMIAで得た軍事情報を、中国軍や北朝鮮軍に伝えているのではないかと疑っていると言われている。
韓国が日本から優遇措置で輸入した「軍事物資」を北朝鮮に密輸しているのは事実なので、軍事情報も流出させた疑いが強い。
アメリカがそう疑うからには、中国や北朝鮮が知っている筈がない情報が漏れていた、という事があったのだと思われる。
韓国が破棄を発表してからの、日米の反応が意外に冷淡だったのは何か裏があるのかも知れない。