1945年から続いた米ソ冷戦が1990年頃に終わり、しばらくの間世界は平和幻想に酔いしれた。
アメリカや欧州はもう戦争は2度と起きないと言って軍備縮小し、日本も自衛隊を縮小した。
その裏でロシアは着々と軍備再建を進め、中国はアメリカを倒して超大国になる準備をしていた。
勝者だった西側諸国が実は騙されていて、敗者になりつつあると気づいたのは2010年台になってからでした。
芋虫ほどの規模だった中国経済は日本の2倍以上、アメリカの半分になり、このままだと中ロが世界を支配するのが決定的になった。
アメリカはトランプ政権になってやっと中国の脅威に気づき、中国潰しに乗り出したが、すでに中国はアメリカの同盟国を合わせたより強大になった。
実はこれとそっくり同じ事がちょうど100年前にも起きていて、やっぱりアメリカは手遅れ寸前でやっと気付いていました。
100年前の主人公はドイツと日本で、 1918年に第一次大戦が終わり、ドイツは敗戦国となり膨大な賠償金を奪われました。
あまりにも莫大な賠償金を請求されたドイツ人は正気を失ったのか、ヒトラーという天才を指導者に選んだ。
1933年に首相になったヒトラーはたった5年ほどで欧州最貧国から欧州最強国家に立て直し、余勢を買って周辺国も併合し始めた。
フランスを占領し、イギリス占領には失敗したが今度はソ連に侵攻しモスクワを陥落寸前まで追い込んだ。
ここでアメリカは「ドイツが欧州を統一したらアメリカは負けてしまう」と気づいてやっとドイツ潰しに乗り出します。
第二次大戦はアメリカのドイツ潰し
ところがヒトラーはアメリカ参戦を極度に恐れていて、絶対にアメリカ軍艦やアメリカ商船に手を出しませんでした。
現在の中国も周辺国をいじめたり脅しているが、アメリカと正面切って戦争する意思はありません。
そこでアメリカが目を付けたのがドイツの同盟国日本で、国力が10倍でも100倍でも過去に戦って倒してきた実績がありました。
アメリカは日本と戦っている中国を利用して「南京事件」や「盧溝橋事件」「重慶爆撃」をでっち上げて日本を怒らせることにしました。
自分がやってもいない戦争犯罪をでっち上げられた日本の世論は予想通り激高し、アメリカ討つべしで挙国一致しました。
たったひとつアメリカが誤解していたのは、日本軍は予想以上に強く開戦から1年以上負け続けた事でした。
戦後の検証では戦前のアメリカ軍や指導者が「日本軍なんか弱い」と思い込んでいたのが分かっています。
アメリカでは日本の軍艦は太平洋に出れないとか、日本人は戦闘機を操縦できないなどと信じられていました。
だがらルーズベルトは日本を追い込んで攻撃させ、アメリカをドイツ戦に参戦させようとしたのです。
だが日本軍は予想以上に強く、米海軍を全滅させたうえ2年近くアメリカ軍は負けて負けて負け続けました。
アメリカ海軍は1775年の創設以来、駆逐艦以上の軍艦が撃沈されたことが無く、自分たちは無敵艦隊だと思っていました。
それが開戦初日に真珠湾攻撃で主力艦が全滅する赤っ恥をかき、報復として東京大空襲や原爆などの戦争犯罪に手を染めました。
アメリカ国家の本性
さて100年前にアメリカを追い込んだのはドイツと日本でしたが、現在アメリカを追い込んでいるのは中国とロシアです。
ロシアは経済破綻で韓国よりGDPが小さいが、核兵器などの軍事力では米中に匹敵するものを持っている。
アメリカ単独のGDPは中国の2倍程度、アメリカの同盟国のGDPは中ロ陣営の5倍以上はあるでしょう。
比較すると日独の全盛期にはアメリカとイギリスに迫る国力で、もしドイツがイギリスに勝っていたら日独が勝っていた可能性が高い。
また1945年から1990年までの米ソ冷戦では、ソ連の共産主義陣営は数の上でアメリカの西側陣営に匹敵していました。
経済力では西側が上回っていたが、軍事力では拮抗していたので朝鮮戦争とベトナム戦争で共産陣営が優勢に戦いました。
日独、ソ連のような強敵が現れた時にアメリカが取る行動は、同盟国と共に対立陣営を潰すことで、そのためにはあらゆる犠牲を払う。
世界大戦も起こすし世界恐慌も起こし、敵対陣営を潰せるなら自国の大損害すら厭わない。
米中対立でアメリカは中国を葬り去るまで戦うだろうし、それはローマとカルタゴの昔から変わっていない。
キリスト教文明最初の超大国ローマは、敵対するカルタゴと何度も大戦争を起こし、ついに滅ぼして痕跡すら残さないまでに破壊した。
こうしたエトスをアメリカ国家も受け継いでいて、中国はこれからそうとう厳しい時代を迎えるでしょう。
中国人は歴史を振り返っても外国と戦争をして勝ったことが無く、強そうに振舞っているが実際は弱い。
トランプ大統領はたまたまそんな時代に居合わせたが、誰が大統領に替わってもアメリカの本性は変わらない。