外国人3000万人でGDP寄与は1.6兆円以下
日本政府は観光立国を目指して訪日外国人3000万人を達成し、次は6000万人が目標だとだとぶちあげています。
政府は外国人観光客が増えるとものすごく経済が拡大するように言っているが、具体的な説明をしません。
例えば訪日外国人が3000万人だとGDPが何%増えるとか、6000万人だとどうなるなどの予測はありません。
外国人観光客によるインパウンドは2018年に5兆円に達し、政府は10兆円消費を目標に掲げています。
つまり訪日外国人が3000万人だと5兆円消費し、6000万人だと10兆円使うのだと分かります。
この5兆円が丸ごとGDPに計算されるならGDPを1%近く増やしたが、GDPは売り上げではなく付加価値で計算します。
日本人が「京都は外人だらけで不愉快だからハワイに行く」という行動を取ったら、(実際そうなっている)外国人消費から差し引かれます。
実際には日本の旅行収支は2.3兆円の黒字だったが、GDPに計算されるのは売上ではなく付加価値なので、その7割程度の1.6兆円くらいでしょう。
3000万人もの外国人観光客を受け入れて、国を挙げて大騒ぎした成果はたった1.6兆円しかGDPに寄与していません。
このペースだと仮に訪日外国人6000万人を達成してもGDP寄与は3兆円というところで、550兆円全体の0.5%程度に過ぎない。
外国人観光で北海道や沖縄のGDPは増えていない
外国人観光客が増えたのは安倍首相が就任した2012年以降で、特に沖縄や北海道で増えたといわれている。
沖縄の外国人観光客は2011年以前はほぼゼロだったのに、現在は300万人以上に達し、国内客も300万人以下から700万人以上に増加しました。
沖縄県は「沖縄経済のほとんどは観光」と言っていて、これが本当なら沖縄県のGDPはこの数年で激増した筈です。
実際の沖縄県GDPは2011年以前に3.7兆円だったのが、約4.1兆円に約10%増加しています。
2012年からの数年間で4000億円、1割以上の成長率は全国平均を上回っているが、これが外国人観光の成果かは疑問がある。
というのは安倍政権になって反辺野古や反米軍運動の成果で、国は沖縄に多額の補助金で金を落としてきた。
沖縄復興予算だけで年間3000億円以上、辺野古の工事も沖縄県のGDPになるほか、数千億円の補助金が交付されています。
沖縄のGDPが「安倍政権下で急増」した謎は、観光ではなく国による公共工事や補助金の成果だった疑いが強い、
沖縄で去年域外観光客が使った総額は約7335億円で、日本人観光客のほうが一人当たり消費額が多い。
この理由はクルーズ船観光客は船内宿泊なのでホテルに泊まらないからで、人数も日本人の半分以下に過ぎないので消費額は1/4程度だと考えられます。
沖縄の外国人観光客が仮に2000億円消費したとして、GDPに計上されるのは7割程度の1400億円、沖縄GDPの3.4%くらいだが、これから沖縄の旅行収支や国際収支を引くともっと低い筈です。
最近北海道のリゾート地が外国人観光客であふれているという報道があるが、北海道のGDPは最近数年間も低迷したままです。
17.9兆円から18.9兆円に増加したものの、全国平均と同じ程度であり外国人観光客が増えた恩恵は見えてこない。