中国の習近平主席は毛沢東のように自身を神聖化したり、絶対主義的な権力を掌握し永久国家主席になろうとしている。
2018年3月の全人代で国家主席の「2期10年」を撤廃し、永久国家主席になる制度に改編した。
これは毛沢東すらなしえなかった皇帝化で、影響力が持続する限り永久に国家主席に留まれる。
このタイプの独裁者はルーマニアのチャウシェスク、キューバのカストロ、インドネシアやフィリピンにも居た。
ロシアのプーチンは1999年8月に首相になり2000年に大統領就任、任期制限があるので途中首相になり20年間権力の座に居座っている。
プーチンの2度目の任期は2024年までだが、再び一度首相になるか大統領の任期を撤廃する方向で進んでいる。
1人の独裁者が長く権力を握った場合は、ほとんどは初期の数年間に輝かしい成果を挙げて、強大な権力を手に入れている。
権力が長期化するにつれて弾圧に走り、業績はマイナスなのにライバルを逮捕したり有権者を脅して投票させている。
この最悪の例が北朝鮮の金一族で、トルコやベネズエラの大統領も長期権力になりつつある。
一方でこうした絶対権力者には弱みがあり、本当は部下にも国民にも支持されていないという事です。
中国の歴史を紐解けば、絶対権力者である皇帝に対して絶えずクーデターが試みられ、クーデターで勝ったものが次の皇帝になっている。
余りにも権力が絶対化したため、皇帝を倒せば自分が皇帝になれる制度になってしまい、絶えず命を狙われる。
これは武家政治になる前の日本の天皇にも見られ、天皇を倒せば自分が天皇になれるので、親戚同士の戦いが絶えなかった。
その後日本は武家政治に変わり、天皇を倒す事には意味がなくなり武士と武士の戦いに変わった。
言ってみれば中国やの政治システムは、鎌倉幕府成立前の日本に似ているとも言える。
不自由化が進む中国
最近の中国国内では毛沢東主義や文化大革命の時代に戻ったかのような、厳しい思想統制が行われています。
今まで比較的自由だった宗教の信仰も、仏教やキリスト教禁止が徹底されて2019年だけで数千の寺院が閉鎖され、仏像の破壊が徹底された。
ある日寺に共産党が乗り込んできて、ハンマーや重機ですべての仏像を破壊する徹底ぶりです。
中国では仏像の類は共産主義の敵とされていて、「聖人」毛沢東の肖像画以外飾ってはならないことになっている。
中国が最も自由だったのは1980年代で、1978年に鄧小平が改革開放を表明してから1989年の天安門事件まででした。
この間中国はすぐにでも資本主義、民主主義国家になると考えられていて、学生は自由選挙や共産党解体を求めていた。
天安門事件以降は思想的な自由を強く統制しながら、消費経済では資本主義のように振舞う一国2制度が強化された。
中国人は選挙で自由投票をしたことが無いのに、アメリカ人のように金を稼いで消費し、先進国になったと思っていた。
この矛盾が噴出しているのが香港で、香港にもイギリス植民地時代から自由選挙はないが、より民主的な暮らしをしていた。
一度民主主義や資本主義を手に入れた人が共産主義になるのは、現代から原始時代に戻るようなあり得ない話です。
イギリス時代の香港では投票はできないが表現は自由であり、個人の自由は民主国家と同じように確保されていた。
習近平のコンプレックス
天安門事件後は思想的に弾圧されたが経済は急成長したので、共産党は人々に物質やお金で満足感を与えることができた。
だが長く続いためちゃくちゃな浪費で政府債務はGDP比300%から500%にも膨らんでおり、中国の経済破綻は避けられなくなっている。
習近平は国民の引き締めにかかり、以前に増して中国から自由がなくなり、物質的成長も期待できなくなった。
習近平は元々中国ではエリートコースではなく、国家主席などにはなれない下っ端と見なされていました。
それは父親が文化大革命で糾弾されたことと、精華大学に入学はしたもののやはり文化大革命でまともな教育を受けなかったなどの理由でした。
中国の共産党エリートは外国に留学する事が多いが、こうした理由で輝かしい経歴は無い地方役人でした。
それが「安全パイ」と見られて重宝され、出世の階段を上がって奇跡的に最高権力に上り詰めました。
習近平より家柄や学歴が良く、輝かしい経歴の人が山ほど居るので、習は自分を絶対化して守ろうとしています。
それが過剰な愛国者アピールなり、ことごとくアメリカに対抗したり、自分を誇示する超大国アピールにつながります。
父が犯罪者で低学歴で自分はたたき上げの地方役人だった事は、習近平支持者の少なさに現れている。
過去の国家主席はいずれも多くの支持者に守られていたが、習近平は側近や支持者が少ないので、より強圧的な政治手法になる。
特に青年時代留学などで外国に行った事が無く、世界を知らないことは習にとって大きなマイナスになっている。
オバマ大統領との米中首脳会談で、習は「太平洋を2つに分割して西側を中国の領土にしよう」と提案しました。
それまでオバマは中国を平和国家、日本を侵略国家と認識していたが、これを聞いて「こいつは頭がおかしい」と認識を改めました。