ルノー日産の落ち込みが目立つ
世界の自動車販売が低迷し、このままではいくつかのメーカーが経営破綻し業界再編の可能性が出てきている。
2018年は2009年リーマンショック以来の世界販売減少だったが、2019年も引き続きマイナスになっている。
世界の大手自動車メーカー8社2019年上半期(1~6月)の生産販売台数は合計で前年比1.7%減、1406万2625台だった。
もっとも落ち込みが酷いのはルノー日産三菱連合で、世界1位だったのが5.9%減少し3位になった。
ゴーン逮捕による混乱から連合解体危機、販売方法の変更などから特に日産の落ち込みが酷かった。
ゴーン時代は法人需要を重視し、レンタカーやリースなどで大幅な値引き販売をして世界トップグループに食い込んだ。
このため日産は個人客にとって魅力ある車種がなく、どれも「レンタカーのような」どうでも良い車ばかりになった。
ゴーン逮捕後は安売りをやめ利益確保に方針転換したが、皮肉にも販売台数急減で利益も減らしてしまっている。
日産はゴーンのレンタカー路線によってリースやレンタル向けの車種ばかりになり、個人が金を払って買いたくなる車が無い。
その状態でいきなり値引きを辞めたので、トヨタやVWなどとまともに競争する事になり、大幅減につながった。
19年上半期の1位はVWで2位はトヨタ、日産以外に大きく落ち込んだのは米フォードと韓国のヒュンダイだった、
フォードは2018年に前年比マイナス9.5%を記録したが、19年1月から3月もマイナス14%になり、4月からは月別販売台数発表をやめてしまった。
FCA、GM、ヒュンダイ、テスラは経営厳しい
同じくGMも販売不振から月別販売台数発表をやめていて、米ビッグ3(ではなくなったが)は北米のピックアップ車以外は売れていない。
ビッグ3の一角のクライスラーはフィアットと統合してFCAになり、先日ルノー日産に統合を持ち掛けて断られている。
FCAはフィアット・クライスラー・オートモービルズ連合だが、ルノー日産三菱以上に「パッとしない」組み合わせです。
パッとしない者同士がくっついて数で勝負しようというのが大連合構想で、実現すると数の上ではVWやトヨタを上回る。
2018年の世界販売はルノー日産三菱が約1076万台、FCAは484万台なので合計すると1560万台となります。
問題はこのパッとしない大連合はフランス・イタリア・日本・アメリカが関わっていて、それぞれが主導権を握ろうとしている。
トランプはアメリカに工場を作れと言うしマクロンは日産工場をフランスに移すと言い安倍首相は門前払いしたが、イタリアも虎視眈々と乗っ取りを狙っている。
かなりのリスクがあっても大連合乗っ取りに成功したら世界最大の自動車メーカーが自国の所有物になるおいしい話です。
次に不振なのは韓国のヒュンダイで2018年は世界5位を確保したものの、営業利益は47%減に沈んだ。
2019年に営業利益率は改善したがなお2017年の半分に留まる模様で、4~6月期の世界販売台数は7%減の110万台だった。
ヒュンダイが重視していた中国でシェア低下が著しく、上位10車種に1台も入っていない他、韓国車全て合計してもシェア5%に達しない。
ヒュンダイが特殊なのはどことも提携や連合を組んでいないことで、日米欧のメーカーからの誘いもない。
先進国のメーカーから見てヒュンダイには欲しい技術が無く、提携すると自分の技術を盗まれかねないと思っている。
世界経済がさらに低迷すると、ルノー日産、FCA、GM、ヒュンダイなどを中心に業界再編があるでしょう。
忘れてはいけないテスラも相変わらず資金不足なので、ある日資金繰りがつかなくなる恐れもある。