ホンダ初の本EV車である「ホンダe」の市販車がドイツで発表され、価格も300万円台と発表されました。
中心価格は約350万円なので日産リーフと同一、テスラのモデル3の基本価格とも同じでした。
実際のテスラモデル3は350万円にオプションをつけて500万円で販売されていて、実際には350万円ではない。
他にライバルとなり得るのは「BMW i3」だが日本での価格が500万円台、欧米市場では450万円から500万円で販売されているようです。
VWが19年9月に発表したばかりのEV「ID.3」はベースモデル360万円で中心価格は400万円程度になるようです。
日産リーフは世界最安と言える価格設定で性能もまずまずだが、販売台数でテスラに大きく後れを取っている。
2019年6月までの上半期合計で日産リーフは、前年比-21.8%の3万5038台の6位に沈みました。
EV世界1位のテスラモデル3は12万8372台を販売し、もはやリーフは比較対象になっていません。
2位と3位は中国国内車で4位は三菱アウトランダーだがこれはPHVで、5位はテスラのModel Xでした。
純粋なEVとしてリーフは世界販売5位なのですが、半年で3万5000台は商売になっていない状態です。
2019年に入って世界のEV販売台数が頭打ちになり、2018年までは年間60%成長していたが増加率が半減すると予想されている。
サンフォード・C・バーンスタイン(投資顧問会社)によると2019年通年の世界EV販売は23%から48%増加を見込んでいる。
今までの年6割増から半分の3割増になるという事で、これは2年ごとに2.5倍になる筈が3年ごとに2.2倍しかならないのを意味しています。
EVに立ちはだかる3つの壁
今までのペースでは2030年代にEVが過半数に達すると予想されたので、各メーカーは総力を挙げてEV開発に巨費を投じてきました。
だが年3割以下の増加率だと2030年代でも1割がEVになるだけで、参入した多くのメーカーは赤字になるでしょう。
全ての自動車の2割以下の市場に全有力メーカーが参入したら、誰も利益を得られず敗者になってしまいます。
ここで注目されるのは2018年にトヨタが出したEV予想で、「2030年に世界EV比率は10%」と言っていました。
当時は10年後にすべての自動車がEVになるような論調が主流だったので、トヨタは消極的だと批判されていました。
今考えるとトヨタの予想の方が現実を正しく認識していて、技術的に不可能だと考えていたのでしょう。
現在のEVが自動車の主流になるのが不可能な理由はいくつかあり、最初の関門はバッテリー性能です。
現状のリチウムイオンバッテリーを使用する限り航続距離や充電時間は向上しません。
テスラの航続距離が長いのは単に大きい(値段が高い)バッテリーを搭載しているからで、技術的に優れているのではない。
2つ目の問題はインフラで、先進国で全ての自動車をEVにするには各国が新規原発を建設しなくてはならない。
送電網や充電設備などを含めると、その国のGDPの何割かに匹敵するコストがかかり、EVはまったく経済的ではない。
日本のすべての自動車をEVにするには数百兆円必要になるが、誰もそんなお金を払いたくない。
3つめの問題は今までEVを販売して補助金なしで利益を得たメーカーが1社も無いことで、ボランティアでEVを作っています。
地球を守るとか崇高な理念で作るのは良いが、それでは続かないでしょう。
メーカーは金儲けの為に自動車を作っているので、地球を守るNGOじゃないからです。