東アジア4か国が人口減少に見舞われる
中国でも少子高齢化が急速に進んでいるが正確な出生率の統計がなく、1.2とも1.6とも言われている。
2018年の出生数は前年比200万人少ない1523万人だったが、人口が10分の1の日本が91.8万人なのと比べると10倍よりかなり多い。
日本より出生率が低いのに人口当たり出生数が多いのは、少子化が始まったのが遅くまだ若者の人口が多いためです。
韓国の出生率は0.98と世界最低で台湾も1.2以下、少子化の東アジア3か国に共通しているのは過去に人口急増期があった事です。
日韓台は1950年代から80年代にかけて人口が急増し、工業化と相まって高度経済成長期がありました。
中国も1950年代から80年代にかけて人口が急増し、改革開放で高度経済成長期がありました。
4か国ともある程度経済成長を達成すると出生率が低下し、人口維持に必要な2.1を下回る1.5以下が定着するようになりました。
ところが4か国全て実際に人口減少が目前に迫るまで人口減少に目を向けず、何の対策も取りませんでした。
日本でも2000年代までは人口が増えていたので問題とは考えられておらず、実際に人口が減り始めてから大騒ぎしました。
人口減少とは空想の中の話で現実には起こりえない、どこか違う惑星の話のように考えられていました。
例えば日本では今も子供の出生数がどんどん減っているのに、政府や総理大臣は「女性の労働をもっと増やそう」と言っています。
これは「出生数を減らそう」と言っているのと同じだが、自分では良い事をしていると思っているようです。
中国の少子化と高齢化
中国も同じで政府は女性の労働や社会進出、政治参加や地位向上を進めるが、こうした事も出生率低下を促進している。
日本政府や中国政府が言う女性の地位は、子供産む女性は「地位が低い女性」、子供を産まずに働くのが「地位が高い女性」だから話にならない。
好き好んで地位の低い女性になる人は少ないので、政府が主導して少子化にしている。
少子化と同時にやってくる高齢化についても、日本からやや遅れる形で中国でも進行する。
少子化は4か国で同じように起きたが高齢化は国によって大きく違ってくると予想されている。
日本の高齢化が深刻化したのは80年代から90年代で既にGDPは世界第二位になっていました。
1人当たりGDPでは世界一位だった事もあり、このため高齢者福祉に大きな予算を割くことが出来た。
日本の社会保障費は35兆円で多くは高齢者に使われるので、高齢人口3500万人で割ると一人当たり100万円になります。
政府が高齢者一人当たり毎年100万円を払っているが、中国の平均所得はまだ60万円程度です。
中国政府が日本と同じように福祉対策をしようとしても、充分な年金や医療費補助はできません。
中国にも年金制度があるが都市戸籍か農民戸籍かで支給額が大きく異なっている。
豊かになる前に少子高齢化するということ
公的年金には9億人ほどが加入しているが国民全員ではなく、2017年の給付額は全国平均で月117元(約2000円)に過ぎませんでした。
公的医療保険は14億人が加入しているが北京の場合年間1300元(約2万1000円)まで全額自己負担、それ以上は15%ほどが自己負担になる。
日本の場合は年収に応じて医療費負担は上限があるが、中国はいくらかかっても15%は自己負担になる。
中国の年金給付額も現役時代の収入で決まるのだが、北京や上海の一流企業は年収100万円なのに、年収3万円以下の極貧農村が存在しています。
大都市の正社員や公務員は十分な年金を受給するが、農村部の特に貧農村では年金は事実上ゼロです。
極貧農村では現金収入がなく年金掛け金を支払えないので、年金制度が存在しても給付金はないのです。
若者は都市にでて農民工になり、村には高齢者だけが残されて自給自足し、働けなくなれば放置される。
ただでさえ不十分な年金だが中国財政省によると、2000年代初頭には年20兆円もの財源不足に陥る。
高齢者の数があまりに多すぎるからで、人口が多すぎる国のマイナス面がこれから負担になる。