安倍首相は2012年12月に就任し同時に麻生財務大臣を任命、黒田日銀総裁は2013年3月に任命された。
この3人が安倍政権の経済運営を担ってきたが、目標だった成長率2%とインフレ率2%を一度も達成していない。
平均経済成長率は「民主政権の悪夢」と首相が言う鳩山・菅・野田政権より低い1%で、インフレ率も平均1%にとどまっている。
安倍首相が2012年の総裁選と衆院選で公約に掲げたのが日銀改革で、黒田総裁は大胆な金融緩和「バズーカ砲」を発射した。
日本経済がデフレなのはお金が行き渡っていないからで、お金を印刷すれば景気は良くなる。
この理論を言い出したのはリーマンショック前後に米FRB議長だったバーナンキでした。
ヘリコプターからお金を撒けば景気が良くなるという発言からヘリコプターベンというニックネームで呼ばれていた。
リーマンショックに直面したバーナンキは市場にお金をばらまいてあっという間に経済危機を収束させました。
一方黒田総裁は6年間も金融緩和を続けたのに効果がなかったが、この違いは何が原因だったのでしょうか?
金融緩和とはお金の量を増やす事だが、具体的には日銀が銀行にお金を貸したり、国債や金融商品を買ったりします。
リーマンショックで米大手企業が倒産したが、バーナンキは文字通り紙切れになった株券や債券を買い取っていました。
こうして日米とも中央銀行がお金を配りまくったが、その後がまったく異なりました。
日本のバーナンキが失敗した理由
アメリカ政府は税収が減って財政危機に陥っても予算を増やし、公共事業などで政府がお金を使うことで需要を発生させました。
不況下に政府がお金を使うと需要が産まれ、お金が使われることで景気が良くなります。
あのヒトラーやルーズベルトも使った古典的な手法で、特に目新しくはありません。
一方日本では財務省が主導して財政再建に取り組み、公共事業や政府支出を極端に減らす緊縮財政を行いました。
中央銀行は空からお金を撒いているのに、政府は落ちているお金を拾わず捨てている状況です。
これではお金が使われないので成長率は1%止まり、インフレ率も1%どまりと目標の半分に過ぎませんでした。
日本政府の予算は見かけ上増えていますが、増えたのは年金や社会保障費や国債償還だけで、公共事業や景気対策費は減少しました。
多くの人が誤解しているのは経済とは政府が金を使って初めて成長することで、政府が支出を減らしたら景気が悪化してしまいます。
黒田総裁は確かに空からお金を撒いたのだが、政府がそのお金を使わなかったから成長率が低いままです。
原因は日銀ではなく日本政府なので、日銀総裁の首をすげ替えても良くなりません。
むしろ日銀が金融緩和して政府が支出を増やさないことで、より一層デフレを悪化させました。
余ったお金は消費者ではなく企業に渡り、企業は生産活動に投資したので、需要が無いのに生産過剰になりました。
生産より需要が多ければインフレ、生産過剰ならデフレになるので、政府が支出を増やさない限り日本はデフレのままでしょう。