中国の経済指標は必ず良い発表をするのが恒例だったが、最近は指標の悪化が目立っている。
実態が悪くても良い指標を発表していたのが悪い指標に変わったというのは、それほど悪いという事なのでしょう。
中国税関総署が発表した8月の貿易統計によると、対米輸出額は前年同月比16%減で輸入額も22%減だった。
8月の輸出は前年同月比1.0%減で輸入も同6%減、貿易収支は348億ドルの黒字で輸入が大きく減ったので黒字額が増えた。
貿易黒字が増えるのは表向き貿易で利益がでているが、内需が弱いから輸入が減少したので、国内需要が減少したのを意味する。
8月の工業生産は前年同月比4.4%増だったが、市場予想を下回りGDP成長目標の6%も下回った。
小売売上高は同7.5%増だったがこれも市場予想を下回り、都市部固定資産投資は5.5%増でやはり予想を下回った。
工業生産の伸びは2002年以降で最低となり、景気後退が予想より早く進行しているのが裏付けられた。
中国はGDP成長目標を6%としているが、市場予想では5.7%程度が予想されている。
製造業が衰退する中で成長を続けているのが個人消費で、アリババなどネット消費が毎年2桁成長している。
ネット消費を支えているのは減税と不動産価格で、不動産価格が下落しないよう政府が資金を出して買い支えている。
アリババのネット売り上げは前年比40%増というハイペースで、「独身の日」は一日で6兆円を売り上げたと言われている。
ネット消費を支えたのは信用スコアの借金
2018年上半期の中国人1人当たりの消費は前年同期比7.5%増加、小売売上高は8.4%増だった。
個人消費の増加を支えているのは債務の増加と可処分所得の増加で、中国の可処分所得は年8%程度伸びています。
ネット消費の伸び率は年2桁だが実店舗の売り上げ高は減少していて、数年間成長していない。
ネット消費を支えているのは実際には借金であり、最近は個人信用情報に基づいたネットローンが急増しています。
信用スコアは借金と返済を繰り返すことで限度額が上がり、最終的に年収の10倍まで借りれます。
中国人の平均年収は70万円程度だがこれは富裕層を含めた平均なので、実際には年収50万円以下の人が大半を占める。
年収の10倍とすると信用スコアで500万円もの買い物ができる事になるが、これが恐ろしい結果を招く。
中国には自己破産や個人の民事再生手続きが無いので、返済不能になっても借金は一生その人につきまとう。
個人の債務は家族や親せきの債務になるので、1人が返済不能になると数十人が巻き添えになる場合もある。
だからアリババのようなローン企業は年収の10倍も貸し、ネット売り上げは年4割から6割も拡大しました。
どう考えてもこんなバブルが続く筈がないので、中国のネット消費はバブル崩壊のように突然止まるでしょう。
不動産投資を支えてきた政府の公的投資だが、公的債務が増えすぎてこれ以上増やせなくなっている。