昔アメリカの3大自動車メーカーはビッグ3と呼ばれていて、文字通り世界の3大自動車メーカーだった。
2000年代までビッグ3という言い方が使われていたが、今はもうそう呼ぶ人も居なくなりました。
2018年の世界自動車販売でGMは800万台売れたが、1000万台超のVW、ルノー日産、トヨタより下の4位にとどまった。
フォードは598万台で現代自動車より下の6位、クライスラーはフィアットと合併してFCAになっても世界8位だった。
クライスラーを含むFCAはルノー日産に経営統合を持ち掛けたが介入したフランス政府と協議が決裂しました。
FCAは2018年の販売台数が484万台と首位3社の50%以下であり、このままでは衰退が予想される。
現代の自動車産業は新車開発や次世代テクノロジーにとてつもない金がかかり、トヨタやVWすら単独では負担できない。
各社は巨大な研究開発費を分担するべく他の自動車メーカーはもちろん、IT企業なども提携している。
だが世界の自動車販売は2018年に9年ぶりの減少となり、2019年も減少が予想されています。
特に世界販売上位を占める中国、アメリカ、欧州諸国が軒並み新車販売が前年比マイナスになっている。
中国はこれまで急成長してきた反動もあり、前年比2桁減が去年から続き、巨大市場と期待されたインドも減少している。
こうした状況でリーマンショックで一度は破産し国有化した米ビッグ3の危機が再び表面化しています。
自動車は小さい者が大きい者を食う
フォードは2018年に前年比マイナス9.5%を記録したが、19年1月から3月もマイナス14%になり、4月からは月別販売台数発表をやめてしまった。
同じくGMも販売不振から月別販売台数発表をやめていて、米ビッグ3は北米のピックアップ車以外は売れていない。
アメリカの自動車産業には「大きい車は利益も大きく、小さい車は利益も小さい」という格言があるほど大型車指向が強い。
だが自動車産業は小さい車を生産するメーカーが技術的に有利であり、大きい車を生産するメーカーを倒してきました。
日本でいえばホンダ、ダイハツ、スズキのような軽自動車メーカーが発展し、大きな車を作る三菱、マツダ、いすゞなどは衰退した。
大きい車は馬力が大きく値段も高いが技術的にはむしろ容易で、大きい車体に大きいエンジンを詰め込めばいい。
だが極限の小型車である軽自動車は効率が求められ、高品質な軽自動車を作るメーカーは高品質な大型車も作れる。
トヨタにすら軽自動車は作れないが、ダイハツはより大きな車を作れるのが自動車という機械です。
世界中の小型車メーカーが米ビッグ3から市場を奪う一方で、ビッグ3は小型車を作れない。
ドイツでも最大のメーカーは最も小さな車を作っていたVWで、イタリアではフェラーリよりフィアットのほうが本当の技術力が高い。
巨大車しか作れないGMやフォードは恐竜のような立場で、発展する哺乳類や鳥類に対抗できない。
世界の景気悪化が予想されているので、次の経済危機が起きたらまた国有化するか外国企業と連合を組むでしょう。