中国のネット企業アリババは2014年9月にNY株式市場で上場し史上最大の250億ドル(約2兆7000億円)を調達した。
3兆円近い投資資金がニューヨーク証券取引所(NYSE)を通じて投資されたが、これは夢に終わるかも知れません。
米経済メディアは9月28日、トランプ政権が中国企業による米国での株式上場を禁止する検討をしていると報じた。
米投資家から中国への資金流入を制限する目的で、既に米国で上場済みの中国企業は上場廃止も検討しているという。
ニューヨーク株式市場ではアリババ、ナスダック市場では百度(バイドゥ)も上場している。
バイドゥは2005年にナスダック上場し、初日に27ドルから122ドルまで値上がりするなど巨額の資金を得た。
こうしたアメリカ投資家の資金は結局中国企業を強くするために使われ、トランプによればアメリカ企業を弱くしている。
確かに中国企業がアメリカ市場で上場できなくすれば、直接資金調達できなくなり打撃を受けるだろう。
同時にアメリカの投資家は中国に直接投資できなくなり、利益を得る機会を失いアメリカ自身が不利益を受ける。
経済の鉄のカーテン
こうした事は実は以前から予想されていて、アメリカは中国やロシアに第二の鉄のカーテンを築くと言われていた。
鉄のカーテンは米ソ冷戦時代に西側と東側を隔てていた様々な障壁のことで、東西ドイツの間には目に見える壁も存在した。
ソ連陣営は秘密主義で発表する数字はウソだらけだったので、スパイを潜入させない限り真実を知ることは出来なかった。
西側と東側では電話も限られた回線しかなく、テレビやラジオも受信できずもちろんインターネットも無かった。
旅行には許可が必要だが東側の国にいくには二度と帰れない覚悟が必要で、通貨の両替や買い物や貿易も制限されていた。
最近の米中対立から当勢冷戦時代を連想し、経済的な冷戦が始まると予想するエコノミストもいる。
最初に行われるのは恐らく貿易の制限で次は投資の制限、さらにインターネットの制限も予想されている。
中国は既に外国の「不適切なサイト」へ接続できなくしていて、このブログも中国からは閲覧できないようです。
政府にとって好ましい外国サイトだけ接続を許可し、不都合なサイトは接続できなくすることができる。
アメリカにはもちろん通信の自由が保障されているが、中国からのサイバー攻撃から米国民を守るためであれば可能かも知れない。
米中経済戦争は中国が倒れるまで続く
ブルームバーグの記事によるとバンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストは6月頃既に米中金融戦争を想定した記事を書いていました。
まずアメリカの政治家が中国企業の上場廃止を決定し、米国のトレーダーやマネージャーに中国株を売却するよう圧力を掛ける。
安全保障への脅威、人権侵害、米国の法律の違反など正当な理由が用意され、投資家やマネージャーは従わざるを得なくなる。
中国企業は株式公開先を上海や香港にシフトするが、米国市場より資金調達力が小さいのですべては受け入れられない。
中国は報復と資金繰りのため、米国債や米国株などの証券を売却すると予想される。
中国は各国に人民元の使用を促し「ドルの支配」に対抗し米中通貨戦争が発生する。
米中双方が相手国への渡航自粛やビザ発行停止し、両国間の渡航や往来が制限される。
中国は中国に進出している米国企業にさまざまな嫌がらせをし、米国も中国企業を米国から追い出そうとする。
こうして経済冷戦は行きつくところまで行き、双方が打撃を受けるでしょう。
だがアメリカは内需国なのに対し中国は外需依存度がたかく、しかも対外債務が多く対立する日米に多額の借金をしている。
アメリカも外国から多額の借金をしているが、中国に依存している訳ではないのでダメージは限られている。
アメリカはこのまま中国が成長するとGDPで抜かれてしまうので、何を犠牲にしても中国経済を潰さねばならない。
従って大統領がトランプから穏健派に変わっても中国との関係は変わらず、中国が倒れるまで続く。