米中貿易対立から世界貿易が減少し世界的な景気後退を招き、今世界で自動車販売が減少しています。
2017年の世界自動車は史上最高の9,680万台、翌2018年は9,581.3万台、2019年上半期は大手8社合計で前年比1.7%減だった。
上半期世界首位はVWで536万5300台、2位はトヨタの531万1806台、3位はルノー日産で521万3673台だった。
3社が下半期も同じ台数だと仮定するとVWは前年比1%減、トヨタは0.2%増、ルノー日産は3%減になる。
下半期にさらに世界経済が減速したのを考慮すると、2019年の世界自動車販売は2%程度減少するでしょう。
ある市場が縮小する場合、零細メーカーが最大の打撃を受け次に中小メーカー、最大メーカーはそれほどでもない事が多い。
大手3社はそれほどでもないが、世界10位に入らないようなメーカーは経営危機に陥るかも知れない。
地域別に見ると最大市場の中国は2年連続自動車販売減になっており、19年8月まで14カ月連続前年割れが続いている。
大きな要因は例のEV優遇政策の廃止で、補助金総額が1兆円を超える見通しになり、今後2年間で廃止される。
だが販売不振はEVと無関係なガソリン車にも及んでいるので、中国自動車市場そのものが縮小している。
中国汽車工業協会は2019年の販売目標を前年比4.7%減の約2668万台とし、減少幅を食い止める目標に転換した。
中国ではトヨタとホンダが好調で、日産やブランド力がないメーカーは減少している。
アメリカや欧州やインド
世界第2のアメリカ市場は9月に大幅減少しトヨタは前年比16%減、ホンダは14%減、日産は18%減など日本車が大きく落ち込んだ。
GMとフォードは毎月の販売台数発表を辞めているが、4半期ではGMが6.3%増加、フォードは-0.1%だった。
GM、フォード、FCA(フィアット・クライスラー)の米3社はピックアップトラックの販売が好調だった。
GMの「シルバラード」は16.6%増、フォードのF150なども5%増で14年ぶりの販売台数、FCAの「ラム」は14%増だった。
米3社は相変わらず重厚長大の「大きい車は儲けも大きい」路線で、今のところ昔の格言は有効なようです。
景気後退すると大型車が売れなくなり日本の小型車が売れるのが今までのパターンだったが、今後に注目したい。
インドは世界最大の成長市場になると期待されていたが、今年は「世界最悪の市場」になっている。
去年から10カ月連続の自動車販売マイナスで19年8月は前年比30%減と壊滅状態になっている。
インドで最大シェアを持っているマルチ・スズキも8月は36%減に沈み、今後の長期計画にも悪影響が及ぶ。
インド自動車市場が壊滅した原因は政府の失策で、性急で厳しすぎる排ガス規制や保険負担増、金融機関の貸し渋りなども影響した。
インドは壊滅、欧州も減少
インドの新車税率は28%で政府は10年以内にすべての自動車の排ガスゼロを掲げ、強制保険保険料を3倍(購入時に3年契約を義務化)に値上げした。
さらに世界経済の低迷も拍車をかけてインド経済は奈落の底に転落しつつある。
インド人はIT人材など個人としての能力では秀でた人が居るが、国を運営する能力はかなり低いようです。
欧州の新車販売台数も19年8月は8.4%減となり、1月から8月まででは前年比3.2%減となっている。
EUは10年以内に排ガス規制の強化によって、事実上現行ガソリン車が販売禁止になる。
HVはなんとかクリアできるがガソリンのみで走行する車やディーゼル車は新車販売できなくなる。
ここで勝ち組になったのはトヨタで19年通年では前年比20%増の50万台が予想されている。
欧州で販売されるトヨタ車の51%がHVで、特に西欧先進諸国ではトヨタHVが売れている。
一方ホンダや日産のHV車は売れておらず、欧州HVはトヨタ1強になっている。
日本市場では相変わらず軽自動車に偏っていて、消費増税前の9月は54万台中20万台が軽自動車だった。
9月の国内新車販売は前年比12.9%増だったのだが、増税後は当然反動で減少が予想されます。