1990年からおよそ30年間日本は不況のままで、対照的に中国は好景気が続いている。
アメリカは1960年代から90年頃まで30年間不況だったが、日本と入れ替わりに好景気になった。
欧州もだいたい同じで「欧州病」と言われていたが、90年代から回復している。
80年代の欧州はデフレ期の日本そっくりで、何をやってもダメでこのまま亡びると言われていました。
アメリカもすっかり自信をなくしてしまい、超大国の面影はなくなり人々はお金を使いませんでした。
転機になったのは1990年の湾岸戦争で、イラクに勝って自信を取り戻したアメリカは急速に回復し始めた。
シリコンバレーではIT企業が雨後のタケノコのようにニョキニョキと生えて成長し、10年で日本を圧倒するようになった。
カーターやレーガンの頃のアメリカとクリントン以降のアメリカの何が変わったのか、具体的に指摘するのは難しい。
シリコンバレーなんてのはアポロ計画の1960年代から存在したし、その前の1940年代からアメリカはコンピュータやITに投資していた。
一番の違いは湾岸戦争で「悪の国家」イラクを倒した事で、アメリカ人が自信を取り戻した事だったように思います。
自信を取り戻したアメリカ人はバリバリ働いてパーっと金を使うようになり、あっというまに景気回復した。
これで分かるのは景気や経済とは物理現象ではなく「ムード」、雰囲気や自信といった見えないものが大事だといういうことでした。
経済とはムードである
朝鮮戦争からベトナム戦争までアメリカは負け続け、自分がやっている事が間違っているのではないかと言う疑念がぬぐえなかった。
アメリカ社会全体に厭戦気分や反米主義が蔓延し、帰還兵には侮辱的な言葉が投げかけられたりした。
社会はバラバラで目的意識もなく、犯罪や不正が蔓延しアメリカ人が作る製品も最悪でした。
工場労働者は部品のネジを締めなかったりしたので、アメリカ車の走行中にドアが外れたり爆発するのは当たり前でした。
90年代に自信を取り戻すとこうした事はきれいに無くなり、アップルのようなアメリカ製品(中国工場だが)が大ヒットしました。
アメリカの消費も回復して稼いだ以上のお金を使うようになり、米株価は30年間上昇し続けました。
今のアメリカ人は80年代後半の日本人と同じように、株価や地価は絶対に下がらないものだと確信しています。
アメリカは一種のバブル状態ですが、好景気とは実はバブルに過ぎず、バブルこそ健全な状態かも知れません。
日本の経済環境は国際的にみてもそう悪くないのに、人々はまったくお金を使わず老後の心配ばかりしている。
客観的事実として不況だというのではなく、日本人自身が不況だと思い込むことで不況を作り出してしまっている。
みんながお金を使わなければ不況になるのは当たり前で、政府も企業も国民を最大限支出を減らしている。
アメリカの湾岸戦争のように何かのきっかけで日本人が自信を取り戻したら、90年代のアメリカのように復活できるでしょう。