アメリカと北朝鮮は2019年10月5日にスウェーデンで非核化協議を開いたが、北朝鮮は決裂したと発表した。
米朝は19年2月に首脳会談を行ったが、米側が先に検証可能な非核化を要求し、北朝鮮は先に制裁解除を要求して決裂していた。
ホワイトハウスで北朝鮮に強硬策を主導したのはボルトン大統領補佐官で、北が先に核放棄しない限り「褒美」を与えてはならないと主張した。
トランプは米朝会談が不調に終わったことでボルトンを疎ましく思い、9月10日に解任した。
ボルトンは北朝鮮だけでなくロシアやイランや中国にも強硬策を主張し、制裁の手を緩めてはならないと主張していた。
ボルトンを解任した事でトランプはこうした対立国との関係が改善されると思ったが、逆の方向に進んでいる。
ボルトンを解任しなければ協議に応じないと言っていたイランは9月14日にサウジの石油施設をドローン攻撃した。
サウジはアメリカの同盟国で米軍基地もあり、対立国イランはアメリカの飼い犬だと批判していた。
イランはボルトン解任でもはやアメリカの報復は無いと判断し、さっそくサウジを攻撃したが、予想通りトランプはイランを攻撃しなかった。
トランプ政権の弱体化を見て取った中国も米中貿易対立で徹底抗戦に転換した。
北朝鮮はアメリカによる空爆を恐れていたが、ボルトン解任とイラン情勢を見てアメリカは絶対に攻撃して来ないと確信した。
トランプはボルトン解任でこうした国々との交渉が進むと考えたが、これらの国は交渉を拒否して条件を釣り上げている。
トランプ外交は世紀の大失敗
イランは核疑惑でボルトンから追及されていたが、ボルトン解任後は「交渉して欲しければ先に経済援助しろ」と言うようになった。
北朝鮮も同じようにボルトンから追及されていたが、解任後は「米朝会談に応じて欲しければまず制裁解除しろ」と言っている。
こんな事は三国志やギリシャ神話にも書いてある外交交渉の基本で、敵対する国が嫌う政治家がもっとも有能な人物です。
逆に敵対国が好む人物たとえば日本でいえば鳩山総理とかは、もっとも無能な人物に決まっています。
トランプのボルトン解任はホワイトハウスで唯一有能だった人物を追い出してしまったのに等しい。
北朝鮮が強気に出て交渉条件を釣り上げるのは火を見るより明らかで、世紀の大失敗でした。
こうした状況で北朝鮮は10月2日朝、東部の元山(ウォンサン)からミサイルを発射した。
ミサイルは高度900キロ以上に達し2つに分割し、日本側は当初2発の弾道ミサイルと発表した。
その後ミサイルは海上の潜水艦から弾道ミサイルを発射した可能性があるのが判明した。
予想されたようにトランプ大統領はミサイル発射をまったく問題視せず、金正恩を褒めたたえただけだった。
これで北朝鮮はさらにアメリカのハードルを上げた事になり、アメリカは潜水艦弾道ミサイル保有を承認した事になる。
一方でアメリカは北朝鮮に協議に応じてもらうために、さらに北朝鮮に譲歩しなくてはならなくなるだろう。
北朝鮮は日本に届く弾道ミサイル多数を持っているが、トランプは「アメリカに届かなければ良い」と明言している。
日本はアメリカという同盟国から切り捨てられた事になり、北朝鮮を攻撃可能な体制を整える必要が生じる。
トランプには国際情勢や安全保障が何もわかっておらず、北朝鮮やイランに利用されている。