無人兵器については色々な試行錯誤が繰り返されてきたが、結局は実用性に乏しいとか有人より劣ると判定されてきました。
無人戦闘機は30年以上前から試されてきたが今も研究段階だし、軍艦でも地上兵器でも実用化に至っていない。
だが2019年9月14日サウジアラビアの石油施設がドローン攻撃を受け、世界で初めて無人兵器だけによる空爆が実施された。
ミサイルを無人兵器とすれば今までも巡航ミサイルや弾道ミサイルによる攻撃があったが、ドローン攻撃は革新的でした。
1か月以上たってもどこから飛来したのか誰が操縦していたのか、実施した組織は不明なままです。
イランやイランの支援を受けた武装勢力と言われているが、サウジとアメリカは手掛かりを示すことが出来ない。
使用したドローンは市販の撮影用より大型で、10キロ以上を搭載して数十キロ飛行可能な大型機でしょう。
それでも価格は百万円程度に過ぎず、戦闘機やミサイルを使った場合の1000分の1以下の費用で済んだ筈です。
特筆すべきはサウジのレーダーシステムが機能せず、攻撃を受けるまで気づかなかった事でした。
サウジアラビアはアメリカの同盟国なので、充実した防空システムを備えており、戦闘機や弾道ミサイルなら探知できた。
サウジの発表によると実際の攻撃はドローン18機、巡航ミサイル7機で行われ、巡航ミサイルはクッズ-1型だった。
クッズ-1型巡航ミサイルはフーシ派が所有しているが、開発したのはイランとみられている。
先進国の悪夢
巡航ミサイルは地表や建造物スレスレで飛行可能で、ドローンも高度10m以下を飛行したでしょう。
地上の防空レーダーは一定以下の高度を探知できず、航空機搭載レーダーも地表スレスレはノイズになるので探知できない。
高性能な航空機搭載レーダーでは地上を走る自動車とゆっくり飛ぶ巡航ミサイルを区別できるが、ドローンはもっと小型で低速です。
おそらく自衛隊や米軍の装備でも超低空を飛行するドローンを識別するのは困難だと思われます。
第一航空機搭載レーダーは上空を飛行していなくては機能しないが、常に上空で待機する訳にもいかない。
このように現状では低空をゆっくり飛行する小型ドローンの攻撃を防ぐのは、ほとんど不可能です。
数キロごとに簡易レーダーを設置すれば小型ドローンを探知できるが、おそらく鳥をドローンと誤認して撃墜してしまうでしょう。
小型ドローン(市販商品としては大型)は今ではネット通販で購入でき、必要な部品があれば自作も可能でしょう。
今後無人兵器同士が戦うようになる
先進国側も様々な無人装備の開発を進め、20年以内に無人兵器が主流になるでしょう。
おそらく有人戦闘機が無人になるような事ではなく、小型で低コストな無人ビークルが大量に配備されます。
現在でもアメリカ軍の航空機の過半数が無人機で、将来有人機による攻撃はなくなります。
航空機、ヘリ、小型船舶、潜水艦、人工衛星、小型戦車など多くの無人兵器がすでに実用化され使用されています。
無人潜水艦は海底探査用として使用されていて、数カ月間かけて海底の様子を調査して帰還します。
中東の米軍はラジコンのおもちゃのようなミニ戦車を投入し、機関銃などを装備していました。
相手は生身の人間なのでおもちゃのようなラジコン戦車でも十分な効果があり、操縦している兵士は絶対に傷つきません。
航空機やミサイルの進歩で敵のミサイル到達範囲に軍艦や航空機を侵入させるのは不可能になりました。
そこで攻撃されても良い低コストな無人船や無人機を投入し、相手側も無人兵器で対応するのが今後の戦場になります。
日本でもこうした研究を進めているが防衛予算が少ないので実用化できず、アメリカとの共同開発か米国製を購入する事になる。
人間が判断したり操縦したのでは対応が遅れるので、AIが状況を判断して操縦したり対応するようになるでしょう。
人間は眠ったり疲れたりするがAIは年中無休で24時間戦えるからです。