自衛隊はイランの許可を得なくてはイランからタンカー警備できない
安倍首相は2019年10月18日の国家安全保障会議(NSC)で、中東オマーン沖などへの自衛隊派遣検討を指示しました。
オマーン湾からペルシャ湾に入るには狭いホルムズ海峡を通る必要があるが、各国タンカーが頻繁に襲撃されている。
ホルムズ海峡は北のイランと南のオマーン間のホルムズ海峡は21海里(約39キロ)しかない。
国連海洋法条約で領海は12海里(約22キロ)と定められているので、必ずイランとオマーンどちらかの領海を通る。
海洋法では他国に害を与えない限り航行する権利が定められていて、国際海峡では航行権が認められている。
例えば旧ソ連は冷戦時代、日本列島の海峡を無害航行だとして堂々と領海侵犯して通過した事があった。
この条約の問題点は海峡を領海に持つ国が通過を認めないと成立しないことで、日本政府が「領海侵犯だ」と宣言すれば領海侵犯になる。
日本政府と違ってイランとオマーン、特にイランは寛大ではなくアメリカなど西側を敵対視している。
西側船舶も敵国あるいは敵陣営の船と見なしていて、タンカー攻撃もイラン政府が関与したと見られている。
これまで海上自衛隊が国連軍や米軍と協力して活動したのは公海上あるいは、領海を持つ国の了承を得ていました。
今回はイランが日本や米英のタンカーを攻撃しているので、自衛隊は敵国の領海を侵犯して警備活動を行う事になる。
イランは自国を攻撃するかもしれない日米英の軍艦に活動許可を出すはずがないので、強硬侵入するしかありません。
安倍首相が課した安保法制の縛り
すなわち自衛隊や米軍がイラン領海で取り締まりなどを始めると、イラン軍と戦争になる可能性があります。
今のところイランはタンカー攻撃に関与していないと言い「どこかの誰かがやったのだろう」ととぼけています。
オマーンもホルムズ海峡を国際海峡や公海と認めず、領海航行には自国政府の許可が必要だと主張している。
両国が他国の航行権を認めない理由は日本を見れば明白で、一度認めてしまえば敵国の軍艦が好き勝手に通行するようになるからです。
どちらかというと日本占領を公言する国の軍艦に、領海の自由な航行を認めている日本の方が世界的には異常です。
日本は2015年9月に安保法制を成立し、自衛隊が合法的に海外派遣できるようになったが、同時に縛りも増えた。
いままでグレーゾーンだった事が明確に禁止され、他国の領土や領海で活動するには必ず相手国の許可が必要になった。
イランが日本のタンカーを攻撃していて、イランから守るために活動するのに、イラン政府の許可が必要なのです。
安倍首相が作った法律によって自衛隊は日本のタンカーを守れなくなり、安保法制によってかえって不自由になった気がする。
今回の派遣でもこの問題があるため、米国が呼び掛けた有志連合に参加できず、ホルムズ海峡にも派遣できません。
日本の護衛艦はペルシャ湾に入らないオマーン沖でうろうろするだけで、実際には何もできません。
もちろん航空機や陸上自衛隊もイラン政府の許可を得なければ、イランから日本のタンカーを守れないという、ギャグのような展開です。