日本の医薬品メーカー「エーザイ」が米社と共同開発中の、世界初のアルツハイマー薬が注目されている。
開発中の新薬の有効性が確認され、2020年に米食品医薬品局(FDA)へ承認を申請すると発表しました。
これを受けて10月23日の株式市場ではエーザイ株がストップ高になるなど、時ならぬブームが起きている。
エーザイのアルツハイマー型認知症薬開発では先日、開発に失敗し試験を中止したと発表されていました。
2019年9月13日にエーザイと米・バイオジェンは、開発中だったBACE阻害薬・エレンベセスタットの臨床試験を中止すると発表した。
臨床試験のデータを新たに解析したところ、高用量の投与を受けた患者は良好な試験結果を見せていた。
アルツハイマー病の原因は解明されておらず、試験中止はアミロイドβ仮説に基づいた新薬でした。
アミロイドβ仮説とはアミロイドβが脳に蓄積し、多くの過程を経て脳細胞を委縮させアルツハイマーを発症するという説です。
アミロイドβ仮説に基づいて多くの新薬開発が行われたが全て失敗に終わり、今回も失敗だったと発表されました。
ところが試験データの中に有効性を示すデータが見つかり、外部の専門家の意見でも有効性があると判断された。
エーザイとバイオジェンはBAN2401というもう一つのアミロイドβ仮説に基づく抗体医薬を試験しており、こちらも成功が期待されている。
現在アルツハイマー薬は存在するが、いずれも症状を抑える程度で治療薬ではなく、発祥した人が治る訳ではない。
エジソンの最初の電球になれるか
エーザイと米・バイオジェンが開発したのは「アデュカヌマブ」で、臨床試験では3285例の解析を行った。
高用量では記憶や見当識、言語などの認知機能改善で23%の人に改善が見られ、低用量で14%に改善が見られた。
これを見ると効果があったのは投与した人の4分の1ほどで、投与されたからアルツハイマーが治るような事ではないようです。
ただ今回の有効性は意図せず偶然発見されたもので、最初からすべて高用量で試験しもっと用量を増やしたら効果も高まった可能性がある。
アミロイドβ仮説に基づく新薬は今まですべて失敗してきたので、仮設そのものが間違いではないかという指摘もされていた。
今回の成功によって目指す方向性が確立されると、アルツハイマー薬の開発が劇的に進歩する可能性が出てきます。
いわばエジソンが最初の電球を点けたようなもので、可能だと分かったら技術は急速に進歩し拡大します。
エーザイと米・バイオジェンが開発しているもう一つの治療薬「BAN2401」が「アデュカヌマブ」より先に、最終段階にあたる第3相治験に入っている。
開発が継続されているのは「エレンベセスタット」「アデュカヌマブ」「BAN2401」でそれぞれ役割が違う。
BAN2401はアミロイドβが脳に沈着する前、エレンベセスタットは発生段階、アデュカヌマブは沈着する直前や沈着後を狙っている。
いすれもいわゆる認知症を発症した後に回復するような特効薬ではなく、予防や初期段階の治療を目指している。
アルツハイマー薬の目標は発症を遅らせることで、例えば30年遅らせれば事実上アルツハイマーを根絶できる。
10年遅らせれば10年間健康で老後を過ごせるし、5年間遅らせても社会全体では好影響が期待できる。