防衛省は老朽化するF15J戦闘機への対策としてF35を大量調達する他、F15Jの半数を近代化改修します。
2018年12月に発表した中期防衛力整備計画では、201機保有するF15Jの102機に近代化改修するとしています。
全機近代化改修しないのは不可能だからで、F15Jの99機はPre-MSIP機、通称前期型と呼ばれています。
前期型はアナログメーターが多用され、機器は旧式でコンピュータは多用されていない
改修する102機はJ-MSIP機、通称後期型と呼ばれ機器の更新に伴いデジタル化が進んでいる。
例えば後期型はGPS装備だが前期型には無く、いわゆる打ちっぱなしミサイルは後期型だけが使用できる。
打ちっぱなしミサイルが使用できない前期型はF15J搭載レーダーで誘導する必要があり、命中するまで敵戦闘機の正面を向きレーダー照射する必要がある。
これではミサイルが命中する前に中ロのSU27発展型戦闘機は打ちっぱなしミサイルを発射して逃げ去ってしまう。
F15Jも反転して回避すればこちらが発射したミサイルは無駄になり、レーダー照射し続ければ敵ミサイルがF15Jに命中する。
最近の空対空戦闘では、打ちっぱなしミサイルを使用できないF15J前期型戦闘機は格好の的になってしまいます。
前期型F15Jでも1機だけ後期型に改修された例があり、できない事も無いのだろうが正直F35Aを買った方が早い。
F35Aは1機130億円で、F15J後期型の改修費用は米国から購入する部品代だけで1機50億円もします。
F35の欠点は稼働率の悪さ
仮に1機70億円でF15Jを改修するとしても、それでF15Jがステルス戦闘機になる訳ではなく、1980年代の機体に新しい電子部品を搭載しただけです。
今後ロシアや中国はF15やSU27より新しい、ステルス性を持つ戦闘機に世代交代していきます。
改修したF15Jは実戦に投入できず、配備した時には時代遅れになっている可能性が高い。
一方F35Aは1機130億円で30年から40年間使用でき、2030年代までは世界でも最強の戦闘機でしょう。
1年あたりの費用で考えてもF15Jは劣るし、戦闘機としての能力を比べても一桁は違う気がします。
米軍が以前模擬戦闘した時には、F35とF15の非撃墜率は1000対1程度だったと記憶しています。
F35とF15が戦ったらF35を1機打ち落とす間にF15は1000機撃墜されているという意味で、比較になりません。
改修してもF15がF35を撃墜できるようになるとも思えないので、「焼け石に水」という言葉を連想します。
F15の利点としては稼働率が高く整備費用が安く、航続距離が長いなどがあります。
米軍はF35の整備性の悪さに苦しんでいて、稼働率はF15よりかなり悪いと言われています。
もしかしたらこの辺の不安から、防衛省はF15Jを引退させたくないのかも知れません。
F35がたとえ無敵の戦闘機でも飛べなければどうしようも無いわけで、米軍もF15の延命や「新型F15」を検討しています。