日本経済はアベノミクス後も年平均1%の成長率でおせじにも大成功とはいえず、株価も回復途上です。
日経平均株価は2万2000円でバブル最高値の3万8900円には遠く及ばず、節目の2万4000円で何度も跳ね返されている。
ところが株価を計る物差しを時価総額や配当金込みに変えると、実はとっくにバブル全盛期を超えているという指摘がある。
東証株式市場の時価総額は2019年9月末時点で598兆円なので約600兆円、1989年末のは約591兆円なので現時点で上回っています。
上場企業数が増えているので日経平均株価が3分の2でも、時価総額は25%も上回っています。
それでも投資家としては購入した株価が上がらなければ損をしたように思えるが、配当金を含めると違ってきます。
1989年12月にバブル最高値の3万8900円で株を買った人は、配当金込みで現在8割ほどの3万1000円くらいになっています。
結局バブル最高値には回復していないのだが、今後も配当金は増え続けるので株価が同じでもいつかは回復します。
日経平均配当利回りは年約2%程度なので、10年ごとに20%以上の配当金が得られるはずです。
2019年の東証1部上場企業の配当総額は8月時点で14兆5000億円にも達しました。
通常日経平均配当利回りは2%なので時価総額が約600兆円なら年12兆円程度の筈です。
日米再逆転はあるか?
日本企業は悪名高い「内部留保」などで資産をため込んでいるので、配当の原資は持っている。
高配当企業は普通、利益は順調に上がっているが成長が止まった企業で、今の日本の姿に当てはまる。
高配当を出すことで投資家を繋ぎとめて株価下落を防ぐ意味合いもあり、将来性より現状維持を目指している。
低配当だが株価は順調な企業は配当しなくても株主が買うような成長企業で、配当するくらいなら研究開発費にでも回す。
マイクロソフトやGAFAのような巨大IT企業でも、成長が鈍化すると配当を増やして株価を支えたりする。
高配当企業には成長力が乏しいのだが現在の日本もまさに、利益はそこそこだが成長力に欠けている。
高配当企業は株式投資では不人気企業としても知られていて、魅力的な株主優待を配りまくる企業などもそうです。
日本全体として見ると時価総額に対して配当が高いのは、低成長の結果時価総額が低すぎるのかも知れない。
例えばもしバブル全盛期に消費増税せず正しい経済政策をしていたら、GDPは現在の2倍だったと主張する人もいます。
日米の株価を比較するとアメリカは低配当で高成長つまり株価が上昇しても配当は少ない。
日本は株価が上がりにくいが株価の割に高配当だが、バブル期から90年代までは逆でした。
成長期の日本企業は株主への配当をせず「そんな事に使うくらいなら設備投資や研究費に使う」とうそぶいていました。
その頃アメリカ企業は低迷しており、高配当で株主を繋ぎとめていたが、今や日米の好守は逆転している。
逆にいえば今は高配当低成長の日本も、90年代アメリカのように立ち直る可能性もあります。