2019年10月31日未明に発生した首里城の火災は、分電盤のショートが原因とほぼ特定されました。
警察と消防の現場検証の結果、最初に火災探知機が作動し煙が上がった1階北側の分電盤で異常が見つかった。
回収した分電盤は激しく焼けており、ショートしたような痕跡もあったと報道されている。
首里城火災では放火の可能性も噂されたが、分電盤のショートによってその可能性はなくなった。
ここで火災発生から振り返ると、首里城公園では10月27日(日)から11月3日(日)まで首里城祭が行われていました。
首里城は2月まで国が管理していたが沖縄県に移管されて維持費をねん出しなくてはならず、県はイベントの規制緩和をした。
正殿では午後9時までイベント関係者らがリハーサルをし、12時までには退出したと考えられている。
31日の深夜まで業者が正殿前広場で照明などの取り付け作業をし、1時30分に退出した。
業者は電源を正殿以外の南殿付近から取り、終了時にブレーカーを切り2重に点検したと話している。
その後警備員が巡回し異常がないのを確認して午前1時45分ごろ施錠して首里城全体でセキュリティ装置を作動させた。
31日午前2時34分に熱を感知する防犯センサーが何かを探知し、約6分後の午前2時41分に火災報知器が反応した。
防犯センサー反応で敷地内の控え所に居た警備員が巡回したところ、正殿の1階から煙が出ているのに気づいた。
ハイテクに頼りすぎている
応援の警備員を呼び北側通路から中に入ろうとしたところ、北側の窓から外に煙が激しく出ていた。
警備員は正殿北側のシャッターを開けて中に入り階段を数段上がったが、激しい煙を目撃して引き返し消防に連絡した。
警備員は応援を呼んだり消火器を取りに行くのに5分ほどかかり、正殿に戻ったら建物全体から煙が出ていて消火できなかった。
消防隊が到着したのは2時50分で火災報知器がなってから約9分後だったので、特に遅かったとは言えない。
首里城は城構造なので大型車が上まで上がる事は出来ず、高台のため放水の勢いも弱く消火活動は難航した。
最も近い防火水槽は城がある高台の下にあるので、ホースは城壁を迂回して100Mも高い場所に水を送らねばならなかった。
火元とみられるのは正殿北側の分電盤だが、正殿では夜間は防犯カメラや警備システム以外の電源を停止していた。
また防犯センサーが作動して火災報知器が作動するまでの間に、電源が落ちて防犯カメラ映像は止まっていた。
2時40分ごろに分電盤付近から火花が出たのを撮影したのを最後に防犯カメラは止まり、1分ほど後に火災報知器が作動した。
水の膜をつくり外部からの延焼を防ぐ「ドレンチャー」は作動し少し火勢は弱まったが、内部からの出火には効果が無かった。
出火から消火まで11時間かかり正殿ほか7棟が全焼し、残ったのは地下の保管庫の宝物だけだった。
これらの経緯を見て感じるのはセンサーだのシステムだのハイテクに依存し過ぎていることで、出火元もハイテクを利用するための分電盤でした。
建設当時首里城は最先端のシステムを備えた伝統建築として称賛されたが、皮肉な事に火災の原因はハイテクを動かず分電盤でした。
他の伝統的な木造建築物ではなるべくハイテクに頼らず人間が管理するようになっていて、大きな違いがあった。
結局ハイテクを駆使した建物はハイテクそのもので滅び、人手に頼る昔ながらの方法の方が良かった。