世界各国でデジタル通貨の発行が検討され、日本でも導入の議論が始まっているが、今まであった仮想通貨との違いは何でしょうか?
仮想通貨はビットコイン高騰で一躍有名になり、ビットコインは最初1円以下だったのに200万円近くに値上がりしました。
その後仮想通貨乱立時代があり、銀行などの金融機関でも仮想通貨利用の機運が高まりました。
もし全世界で仮想通貨が利用されると国家が発行する通貨が利用されなくなり、国が通貨をコントロールできなくなります。
そこで国家としても仮想通貨にとって代わられる前に、自ら仮想通貨を発行しようという動きになっています。
各国に衝撃を与えたのは2019年6月18日にフェイスブックが発表したデジタル通貨「リブラ」でした。
ビットコインのような仮想通貨は売買の比率だけでレートが決まり、買う人が多ければ2万ドル、売る人が多ければ0.1ドルにもなり得る。
リブラはドルやユーロや円などの法定通貨の裏付けがあり、ドルやユーロと連動したレートになったと想像できる、
想像できるというのはリブラには各国政府から批判が集中し、結局中止されたからで、企業が国家の地位を脅かすと批判された。
例えばリブラを1000兆円も発行し毎日取引しわずかな手数料を徴収したら、高額手数料の法定通貨は国際取引には使用されなくなる。
現在海外旅行でドルから円に交換するには1%以上の手数料がかかり、往復では2%も取られる。
それがリブラなら両替なしで全世界で利用できるとなったら、もう誰も空港で両替などしないでしょう。
中国がデジタル通貨導入
各国政府でいち早くデジタル通貨導入を決めたのは中国で、早ければ2019年中にも発表すると見られている。
紙幣の人民元と併用すると思うが、13億人の人民が直接人民銀行に口座を開くので中間コストがなくなる。
銀行も支店もATMも預金通帳も一切不要になり、デジタル人民元はスマホなどデジタルの中だけの存在になる。
紙幣ならタンスに仕舞えば誰が持っているか分からないが、デジタル人民元は所有者の名前を政府が完全に把握できる。
脱税や資産隠しは不可能になり、秘密裏に国外に持ち出したり、裏金作りのような中国人の得意技も使えなくなる。
中国政府の真の目的はこうして人民の管理を強化し、共産主義体制に逆らえなくするためと考えられる。
中国の例を見るとデジタル通貨には個人のプライバシーが無く、政府に隠れてお金を持ったり使うことが出来なくなる。
他人名義や法人名義でデジタル通貨を持つことはできるが、紙幣に比べると隠し持つことが難しい。
バブル期には竹やぶに1000万円が捨ててあったような事があったが、デジタル通貨ではそうした事は起きない。
日米欧など民主主義国で導入しにくい理由がここにあり、他人に知られずお金を持つことも民主主義の自由のひとつです。
中国のデジタル通貨発行にはもう一つの意味があり、それは膨張する債務を隠す為だと考えられる。
中国の公的債務はGDP比2倍から3倍以上はあり、このままでは数年後に破綻が表面化しかねない。
そこでデジタル通貨という新しい概念を持ち出して、さらに借金を増やして誤魔化そうという魂胆です。
デジタル通貨としてお金を増やすのは借金を増やすのと同じ事で、中国は問題を先送りできる。