警察庁は「あおり運転」の処分を厳罰化し、一度の違反行為で免許取り消しにできるよう制度改正する方針を決めた。
あおり運転は2017年6月に東名高速で発生した事故で注目され、その後同様の例が続々と報道されました。
それまで警察は煽り運転を問題視せず、違反制度がなく取り締まりをしたこともありませんでした。
煽り運転は後方から車間距離を詰める事ですが、横から幅寄せしたり前方に割り込む行為もそう呼ばれています。
東名高速の例ではパーキングエリアの駐車で注意された事に腹を立てた容疑者が追いかけて煽り行為をした。
煽られたのは家族が乗ったワゴン車で、運転していたのは母親だったが、父親が邪魔になっていた車に注意してトラブルになった。
追いかけた車の男は前方に割り込む行為を繰り返し、高速道路の追い越し車線で前を塞いで停車した。
後ろから来た数台の車は避けたが、その後ろから走行してきたトラックは前をよく見ておらず、前方車両が飛びのいたら停車車両が現れ衝突した。
この後同じような事件や事故が繰り返し発生し、警察もようやく煽り運転の取り締まりをするようになった。
道交法などには「煽り運転」という違法行為は無く、車間距離や割り込み行為などになる。
これらの一つ一つは従来軽微な違反行為とされ、現行犯でないと取り締まれず取り締まっても反則金と減点だけでした。
道交法では軽微な違反は現行犯でしか検挙できない規定があるので、写真やビデオ録画で煽り行為を立証しても取り締まりができなかった。
警察は50年以上煽り運転を放置した
東名事故後に警察庁は解釈を変更し、録画で煽り行為が立証されると現行犯でなくても検挙、逮捕するようになりました。
警察がまったく取り締まらないので日本では「煽り運転は罪にならない」という常識が生まれた。
東名あおり事故にはこのような背景があり、ドライブレコーダーの普及もあって取り締まりは強化されているようです。
だが「煽り運転」自体は罪にならず、車間距離や割り込みなど軽微な違反にしか問われないのは変わっていません。
そこで警察庁はようやく重い腰を上げて、煽り運転そのものを重大違反行為とする法改正に乗り出した。
どのくらい警察の腰が重かったかと言うと、昭和30年代に既にトラックやタクシーの暴走が社会問題になっていました。
昭和39年に東京五輪が開催されたが、日本のトラックやタクシーは外国人から「カミカゼ」と恐れられていました。
昭和40年代からは個人が自動車を所有するようになり交通事故が激増したが、警察は煽り運転を放置しつづけました。
これには立証が難しいという理由もあり、ドライブレコーダーどころか防犯カメラもなかったので当事者の証言しかなかった。
現在は道路上や街角の防犯カメラや監視カメラ、車載のドライブレコーダーなどで動画として確認できるようになった。
あまりにも警察の対処は遅きに失したが、今後は「煽り運転は罪にならない」という常識も変わっていくでしょう。