少し前までEVや電動化は将来の目標というところで、現実の課題ではありませんでした。
ところが2019年になって大手自動車メーカーが次々に全車種電動化を打ち出しました、
今まではEVやPHVをモーターショーに出品して市販すれば充分に先進的でしたが、時代は一足飛びに全車種電動化に進んでいます。
全車種電動化を最初に実現したのはテスラでしたが、最初からEV以外製造していませんでした。
トヨタはほとんどの車種にハイブリッド車を設定する事で、ユーザーがHVかガソリン車かを選べるようにしました。
ユーザーが選べる電動化は受け入れられ、今までトヨタに見向きもしなかった欧州で、トヨタはついに年間100万台を達成する(9月まで83万台)
2019年上半期に欧州で販売したトヨタ車の51%がHVで、下半期はさらに比率が高まると予想されています。
トヨタはEVも開発しているが主力車種はHVとし、一部車種にEVを設定するにとどめると見られています。
日本メーカーではホンダも欧州で22年までの全車種電動化を打ち出し、トヨタの後を追う事にした。
ホンダも中心車種はハイブリッドになるもようで、同時に「ホンダ e」のようなEVも発売する。
日産はEVのリーフで先陣を切ったはずだったが、そのリーフは相変わらず販売で苦戦し赤字を出し続けている。
EVの欠点はまさにこれで、全世界でEVを販売し補助金なしで利益を出したメーカーはまだ1社も存在していない。
欧州メーカーのゲームチェンジは成功するか
欧州メーカーではVWが2028年までに、全世界で2,200万台のEVを生産する計画を建てている。
年間2200万台ではなく10年間でという意味で、2025年までに3分の1を電動化し、2030年までに70車種を投入する。
2020年代後半にはVWグループの50%以上を電動化するという野心的な計画を持っている。
これほど電動化に熱心なのは、実はVWは2020年代の欧州環境排ガス規制をクリアできるガソリンエンジンを持っていないからだと言われています。
VWグループと言えばポルシェやアウディなど高級車が多く、ガソリンを大気中にばらまくのを得意にしている。
環境技術はクリーンディーゼルがあったが排ガス騒動で存続できなくなり、強化される環境規制を達成できない。
欧州の新環境規制は「旧プリウスでさえクリアできない(現行車は可能らしい)」と言われるほど厳しくガソリン車は事実上販売できなくなる。
VWが得意とする大型高級車を欧州で売り続けるには、EVやPHVやHVにするしかない。
事情は他の欧州メーカーも同じなので、BMWやベンツ、ルノーやフィアットなども全車種電動化になる。
全車種をEVのみとするのは失敗した時のリスクがあまりに高すぎ、EVの失敗で欧州全メーカーが倒産しかねない。
そこでトヨタのようにガソリン車とEVやPHV、HVなどユーザーが選べるようにした方が現実的です。
最近トヨタはプリウスHVの技術を無償公開したが、「欧州の全メーカーから協力要請があり個別に応じきれない」のが理由だそうです。
2020年代は同じ車種でガソリンとHVやPHVを選択できるのが流行するかもしれません。