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NATOの弱体化と解体危機 アメリカにぶら下がる加盟国と嫌気がさしたアメリカ

NATOは落ち目の欧州がアメリカにタカる仕組みだったが、アメリカは嫌気がさしている
画像引用:https://www.delltechnologies.com/uploads/2018/08/NATO-1.jpg-600×356-1535494730.png
NATOの混乱を指摘したマクロン

世界最大にして最強の軍事同盟はNATOだが、創設70年で解体や離脱の危機を迎えている。

一見ありそうもない事だが、イギリスがEUから離脱したように、不満を持つ国が離脱する可能性もある。

フランスのマクロン大統領は19年11月7日発売の英誌エコノミストのインタビューで、「NATOが脳死に至っている」と発言していた。

マクロンは「米国と他の同盟国間に戦略的協調がない」「トルコは協調を欠いた攻撃をしている」とも述べた。

反響は大きくすぐにロシアの報道官は「最高の言葉だ、NATOの現状を的確に表している」などと述べた。

ドイツのメルケル首相、米国務長官、欧州委員長、NATO事務総長らが一斉に「NATOは万全だ」と反論した。

こんな発言一つで加盟国が右往左往する事自体が、NATOの機能不全と盤石ではないのを表している。

NATO崩壊を心から願っているのはロシアのプーチン大統領で、ロシアがNATOから引き抜こうとしているのがトルコです。

トルコはどうしてNATOに加盟したのか分からないほど他の同盟国と対立し、米英仏は「トルコを守らない」と宣言している。

NATO創設は大戦後の1949年でトルコ加盟は1952年、当時アメリカは世界経済の8割を占めるほど超超大国だったので、トルコもアメリカに接近した。

だがトルコはイスラム教のアラブ国家で他のNATO加盟国はキリスト教なので、最初からソリが合わなかった。

冷戦時代は共産主義陣営という目前の敵がいたから我慢していたが、冷戦崩壊と中ロ台頭で離反し始めた。


NATOから出ていけと言われているトルコの立場

NATOなどキリスト教先進国とイスラム諸国はイスラエル建国から不仲だったが、2001年の911テロと対イラク戦争で対立が決定的になった。

シリアの隣国のトルコは何かと理由をつけてISやアルカイダを支援し、欧米から離れていった。

アメリカはサウジアラビアとも同盟国だが、皮肉にも最後までISを支援していたのがトルコとサウジでした。

トルコ・サウジはアメリカの同盟国という立場を利用して公然とISを支援し、資金や物資を援助したり活動家をかくまった。

2010年代に欧米とトルコの関係が悪化したところに、手を差し伸べたのがロシアで「NATOから離脱してロシア陣営に入ろう」と誘っている。

トルコはエルドアン大統領の独裁体制で、同じく独裁のプーチン大統領や習近平のほうがトランプより話が合う。

トルコはオバマ時代からアメリカに制裁を受けていたが、トランプ政権でより厳しくなり、契約済みのF35引き渡しを撤回した。

始まりはトルコが領空侵犯したロシアの戦闘機を撃墜したため、アメリカが対空ミサイル輸出を拒否した事でした。

それならうちが売りましょうと売り込んだのは撃墜されたロシアで、ロシア製SS400対空ミサイル輸入を決定した。

トルコはアメリカからF35戦闘機の輸入も決めていたので、米ロ両方から最新鋭の戦闘機とミサイルを輸入する事になった。

F35の軍事機密流出を懸念したアメリカはF35約100機の引き渡しを拒否し、米国製兵器の輸出も禁止した。

これだとトルコはさらにロシアや中国製装備に依存せざるを得なくなり、よりアメリカから離反する。

トルコは米軍が保管する核兵器を有事の際に使用できる核保有国だったが、関係悪化で現在は引き上げられているようです。

アメリカが他国を守る同盟は持続出来ない

他のNATO加盟国からもトルコは「どうしてお前がNATOに居るんだ」という扱いを受けている。

さらに米トランプ政権は欧州のNATO加盟国に対しても厳しく、アメリカ人の税金で守っている税金泥棒という風に罵っている。

トランプは欧州が国防費分担を増やさないならNATOから離脱するとも言っていて、脅しに過ぎないだろうが新しい安全保障の枠組みを検討するかも知れない。

NATOは世界の軍事費の60%を占めており(40%以上はアメリカだが)、日中を除くGDP上位国すべてが加盟している。

戦後の平和のほとんどはNATOによるもので、NATOが解体するとおそらく中ロやアラブの独裁国家が世界を支配する。

そうなっては困るのでNATOに替わる枠組みを作り、日本やアジア太平洋を含む安全保障を考える必要がある。

NATOの致命的欠点は欧州とアメリカの地域同盟にとどまっていることで、アジアや中東の経済発展を反映していない。

NATOの始まりは落ち目の欧州がアメリカから守ってもらい経済援助を受ける仕組みで、欧州は今もアメリカに守って貰っている。

日米同盟も日本がアメリカから守ってもらう関係だが、アメリカの世界的地位は低下しているので、もうこんな関係は続かない。

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