イギリスは2019年12月12日に下院総選挙を実施し、ジョンソン首相が率いる保守党が大差で勝利しました。
定数650のうち保守党は単独過半数となる365議席を獲得、この選挙は事実上EU離脱の信任投票だった。
ジョンソン首相は勝利宣言をし、20年1月中にかならずEUから離脱すると予告しました。
前任のメイ首相は数年間の猶予期間を設けて、その間に離脱後の条件を話し合うとしていました。
単独政党が365議席を獲得したのは1987年のサッチャー首相以来32年ぶりで、多くのイギリス国民が支持した。
SNPスコットランド国民党は48議席を獲得し13議席増、得票は0.8%増だが今後大きな影響を与える可能性がある。
スコットランドはEU残留を希望しており、イギリスがEU離脱するならイギリスから離脱すると言っています。
SNP党首はスコットランドで、2014年に続く2度目の独立住民投票を実施したいと話している。
EU離脱中止を公約に掲げた自由民主党は11議席で1議席減、2大政党の労働党はは203議席で59議席減だった。
労働党はEU離脱するかどうかもう一度国民投票を実施するべきとしていて、実際には離脱反対を公約に掲げ選挙を戦った。
この結果を見ると即時EU離脱を掲げた保守党が全ての票をかっさらい、EU残留や白紙撤回を掲げた政党は議席数を減らした。
ジョンソン首相が「即時EU離脱の信任を得た」と言うのも頷ける結果で、焦点は離脱後に自由貿易協定に移っている。
イギリスとEUはFTA交渉に
イギリスが2020年にEUから離脱するのは決定的になったが、断絶するわけではなくすぐにFTA自由貿易協定を締結する。
イギリスとしてはEU残留と同等の権利を得たいが、EUはそれはできないとゴネるでしょう。
もしイギリスがEUを離脱してもEUに留まるのと同等の権利を得たら、他の国もEUから離脱しかねない。
EUは選挙翌日の12月13日、ブリュッセルで首脳会議を開きイギリスが離脱後も緊密な関係を保つのを確認した。
EUとイギリスが絶縁するとイギリスが打撃を受けるが、EU側もまた打撃を受けます。
EU残留を希望しているのはスコットランドで、イギリスから独立してでもEUに入りたいとしている。
2014年9月18日、スコットランドで住民投票が行われ独立賛成票は44.7%、反対票は55.3%だった。
投票率は84.5%だったので、スコットランド独立に賛成したのは住民の約38%に過ぎなかった。
SNPスコットランド国民党は48議席を獲得したが、これはイギリス全土での獲得議席を合計したものです。
スコットランドは独立するか
他の地域に住む人がスコットランド独立を支持しても、東京都民が沖縄独立を支持するようなもので何の関係も無い。
2014年の住民投票は独立する選択肢しかなく、投票はイエスかノーかを住民に突き付けるものでした。
もう少し現実的に「EUに残留するか」のような質問ならば、賛成票が増える可能性もあります。
国家としてはイギリス連合に所属しながら、スコットランドだけEUに残留する事が可能なら多くの人がそう望むかも知れない。
スコットランドとイングランドは1707年に連合しグレートブリテン王国になり、1800年にアイルランド王国も加わった。
連合は王様が決めたもので、その後イギリスでは議会制民主主義により独立を求める動きが活発化した。
第二次大戦と中東戦争、ベトナム戦争、アフリカやアジア諸国の独立で大英帝国はほとんど崩壊してしまった。
スコットランドとアイルランドは大英帝国が超大国だったからイングランドに従っていたが弱体化でメリットが少なくなった。
とはいえただでさえ弱体化したイギリスが2つや3つに分割したら、もっと弱体化するでしょう。
スコットランドとアイルランドが独立してもベルギーやオランダ程度の国になるだけで、それも面白いかも知れないが大国から小国になる。