インドは2000年台にBRICSの一角として次の時代の大国と期待されたが、2019年は残念な年になった。
7月から9月の実質成長率は4.5%で通年では5%前後、日本と比べれば高いが新興国としては低い。
2018年は8%台の成長率だったのが急落し、特に自動車販売が大きく落ち込んだ。
2014年にモディ政権が発足し8%の成長率だった事もあったが、6期連続で四半期成長率が前期を下回っている。
自動車などの製造業から農林水産業、個人消費まで幅広い落ち込みを見せています。
インドの中央銀行は5回連続で政策金利を引き下げ、モディ政権は銀行の貸し渋り対策も行った。
モディ首相の経済政策は失敗したとの批判も強まっていて、インドの政治は不安定になっている。
インドの新車販売は2018年10月から19年11月まで13か月連続前年比マイナスだったが下げ幅は縮小している。
自動車販売減の起点は17年6月にモディ首相が「2030年にEV以外の自動車を禁止する」方針を発表した。
2019年6月にはEV化のロードマップも示され、2030年以降はEV以外のあらゆるガソリン自動車販売禁止の方針が示された。
2019年7月には消費税にあたる物品税が始まったが、ガソリン車28%、HV車43%、EV12%の税率となっている。
HV車の税率が異常に高いのは「贅沢品」への見せしめと、日本車叩きによる国産メーカー優遇の意味合いがあるようです。
インドの恐るべき消費税
インド経済低迷の原因が消費税にあるのは間違いなく、税率は5%、12%、18%、28%の4段階とかなりの高額です。
日本の消費税は2%か3%ごとに小出しに上げてきたが、インドは食料品が5%か免税の他は軒並み10%以上です。
EVは優遇されて12%だがせっけんや歯磨き粉が18%、資本財、工業中間材も同じく18%となっている。
自動車、テレビ、エアコン、冷蔵庫、炭酸飲料は28%だがHVは28%+「見せしめ税」15%で合計43%となっている。
これで終わりではなく従来から課税されていた税金もあので、経済崩壊して当然と言える。
政府はこうした大増税によって産業構造の効率化などが進むと予想していたが、消費者は単純に「買わない」という行動を起こしただけだった。
メチャクチャな大増税が引き起こした消費不況は貧困層を直撃し、もともと小さかったインドの消費経済は壊滅した。
インドの農村部は経済成長によって少しずつ貧しさが薄らいでいたが、去年から今年にかけて極貧に逆戻りした。
都市部では1日1ドルの労働から抜け出しオートバイや中古自動車を買う労働者も現れたが、全て灰燼に帰した。
貧困者は今まで食べていた牛乳や卵、フルーツ、野菜、レンズ豆を買えなくなり、配給穀物で暮らしている。
このように一旦は成功しかけた新興国が、1人の政治家の失策で壊滅するのは世界で頻繁に起きている。
アルゼンチンやチリやメキシコ、ウルグアイ、ベネズエラなどは少し良くなっては失策をやらかして定期的に経済崩壊している。
水不足や民族対立も激化
ロシアのプーチン、日本の鳩山・菅など枚挙にいとまがなく、国の経済は案外あっけなく破綻する。
モディは残念ながら「インドの鳩山」だったようで、民族対立や天候不順まで引き起こしている。
2019年にインドは史上最悪の水不足に見舞われたが、一連の失策を見るとこれも失策が原因だった可能性がある。
インドは農業用水の約60%を地下水に頼っているが、当然くみ上げすぎれば枯渇するわけで、単純に使いすぎたと思われる。
インドは今までいい加減だった国籍管理を厳格化し、特にイスラム不法移民を排除するものとなっている。
インドはバングラディシュやパキスタンなど周辺のイスラム国家と対立しており、インドのヒンズー教とも相いれない。
インドの人口は約13億人だがイスラム教徒が2億人近く居てヒンドゥー教徒に次ぐ勢力、仏教徒、キリスト教徒よりも多い。
インド・アッサム州は最初に国籍厳格化をしたが、人口3300万人のうち約190万人が無国籍状態になり多くがイスラム教徒だった。
インド全体では数千万人ものイスラム教徒が不法に入国して居住している可能性がある。