ある国の経済力の盛衰には波があり、パターン化された傾向も存在している。
日本は1990年から2020年まで30年間衰退しているが、その前は1950年から1990年まで40年も超成長期でした。
同様の事は他の国でも起きていて、アメリカは1990年代から成長期だが1960年頃から30年間衰退期だった。
欧州も「欧州病」が衰退の代名詞に使われるほどで、戦後長期間衰退が続き90年代にやっと回復した。
中国は1935年頃まで日本より経済規模が大きかったが、再び日本を抜いたのは2008年で70年以上衰退していた。
ロシアも衰退期が長い国で、1940年頃から1970年代までソ連の全盛期、そのほかはずっと衰退しています。
日本を含む列強や先進国と呼ばれた国では、およそ30年くらいの周期で衰退と成長を繰り返しています。
短期的に見るとどこかの国が急成長して、別のどこかが衰退しているのだが、もっと長期間観察すると結局「先進国」というグループは変わっていない。
中国は人口13億人だから国の規模が大きいが、1人当たりGDPは1万ドルで、本来なら自動車を買える収入ではない。
それが北京や上海で車が売れまくったのは、その分年収1000ドル以下の人が多く存在するのを示している。
ドイツは最近10年成長期でうまく行っていたので、経済学者などが「ドイツを見習え」と言っています。
だがその前はドイツ病と言われるような国で、誰もドイツを見習えとは言っていませんでした。
国民から収奪する国は滅びる
こうした栄華衰退は要するに上がりすぎたから下がり、下がり過ぎたら暫くすると回復します。
下がりすぎたものが再び上がり始めるのは30年後くらいなので、周期性に目が行かないだけです。
アメリカ、日本、欧州などは先進国グループ、その下に中進国、その下に後進国グループがある。
たまにグループ間を移動する国があっても、それぞれのメンバーは殆ど固定されていて100年単位でしか変わりません。
『国家はなぜ衰退するのか』(早川書房)によるとマヤ文明からソ連まで滅亡したすべての国には共通点がありました。
それは収奪的国家は衰退し、収奪しない国家は繁栄する法則で、上の人が下の人から収奪する国は例外なく衰退しました。
日本も昭和期には貧富の格差が少なかったのに、平成になって土地成金やヒルズ族、IT長者が産まれると衰退しました。
昔は公務員や官僚の金持ちなどいなかったが、今は大省庁の次官クラスは生涯100億円以上を稼いでいます。
現役時代の年収は少ないが定年後に数年ごとに有名企業を渡り歩き、3年ごとに退職金10億円ほど受け取ります。
その金は結局国民の税金や、消費者が大企業に余計に支払った中から払っているので、こんな国が栄える筈がありません。
国民から収奪する国は衰退するという冷徹な原則からは、どんな国も逃れることができません。
例えば南米やアフリカの先住民は、欧州列強に支配され強制移住や強制労働をさせられました。
被害者ヅラをする後進国の正体
彼らは被害者ヅラをしているが、実は欧州列強が来る前からアフリカや南米にはドレイ制度が存在し国民から収奪していました。
アフリカや南米の王は自国民を捕まえて貿易商人に差し出し、贅沢品や鉄砲と交換しました。
アフリカや南米や中国朝鮮など滅亡したほとんどの国にこうした制度が存在していました。
朝鮮王は中国皇帝に臣従していたが、貧乏で貢物が用意できないので、自国民を捕まえては中国に送りました。
その中国もイギリスなど欧州列強に自国民を労働力として差し出し、自ら衰退を招きました。
こうした完全に収奪的な国は結局亡びるが、先進国であっても良い時期と悪い時期とがある。
アメリカは第二次大戦に勝って1950年代は好景気だったが、60年代から80年代は酷い時代でした。
ベトナム戦争で国力を消耗したあげく負けてしまい、自国民を徴兵して戦場に送り込み、権力者と資産家は戦争で大儲けした。
多くの若者が自分の国を憎むようになり、反米が大ブームになり30年間衰退を続けました。
反転したのは1990年の湾岸戦争で、クウェートに侵攻したイラクを華麗に撃退した。
事前予想ではベトナム戦争のように苦戦すると見られたが、ステルス戦闘機や巡航ミサイルなど最新兵器で圧倒した。
ひとつの戦争に勝っただけでアメリカ人は自信と愛国心を取り戻し、再び成長期に入った。
こんな風にある日突然衰退期に入ったり成長期に入ったりする。