おかしな経済大国
中国は経済大国と言われていますが、調べれば調べるほどおかしな点が出てきます。
その一つが自動車販売台数で、今や中国の新車販売は世界一で2900万台(2017年)で世界の3分の1を占めました。
中国の人口は13億人も居るので一見あたりまえだが、中国の一人当たりGDPはまだ1万ドル弱というところです。
そしてその国の人々の年収は、およそGDPの半分くらいになる傾向があります。
例えば日本の一人当たりGDPは約400万円だが、パートタイマーを含む労働者全員の最頻値は約250万円弱でした。
労働人口は55%ほどしかいないので、全国民の年収はせいぜい150万円以下、これが本当の日本の姿です。
労働者の年収が250万円程度なので、車を買うとしても多くの人は軽自動車で、それも中古にしようかな等と考えます。
翻って中国を眺めると、1人当たりGDPからは、非正規や非合法を含めた中国人労働者の年収はせいぜい60万円に過ぎない。
この年収で買えるのはスーパーカブの中古くらいの筈なのに、ベンツやレクサスなど高級車が飛ぶように売れた。
こんな状況はどう考えたっておかしいのであり、中国人はまだ自動車を買えるような経済大国ではありません。
平均年収からは買えない自動車が売れたのは、公用車が多いのと貧富の差の激しさに起因している。
中国経済の8割は今も公営や公的企業が生み出していて、西側のような民間企業はほとんど存在しません。
一生車を買えない9億人
公的企業で役職がつくと公用車を貰えるので、会社の金でBMWなどをバンバン購入していました。
これは自動車販売台数を増やす国策でもあり、役所や共産党や公的企業がお金を出して車を買い与えました。
もう一つは貧富の差で、中国人労働者の平均年収が70万円以下であっても、平均の人が中国には存在しません。
中国には江戸時代の士農工商より厳しい階級制度があり、一番上は共産党員や上級公務員で、国や党からベンツを買ってもらえます。
次は都市戸籍の労働者で約4億人がおり、日本や欧米人のように有名企業に就職してボーナスを貰い、社会保障も充実しています。
次が農民工で3億人弱だが、かれらは農村から出てはいけないのに勝手に出稼ぎをしている不法労働者です。
違法なので給料は都市戸籍の半額ほどで、社会保障はなく有名企業には絶対に就職できません。
次が農村戸籍の農民で6億人程存在するが、一生農村に縛られて農業に従事するのが義務付けられています。
このうち自動車を買ったり貰ったりできるのは特権階級と都市戸籍住人だけで、農民工と農民は貧困層です。
平均年収70万円以下でも貧困層が9億人も居れば、都市戸籍の4億人は平均より遥かに高い収入を得られます。
北京や上海では年収200万や300万のサラリーマンや公務員が存在するが、自費で新車を買えるのはこの人たちだけです。
9億人は一生自動車を買うことは無いので、実は中国の自動車人口は4億人+公用車需要です。
日本の新車販売は人口1.2億人に対して520万台、アメリカは3.3億人に対して1700万台と人口比20分の1前後の販売数でした。
中国は13億人で2600万台と50分の1前後だが、都市戸籍の4億人が2600万台買ったとすると人口比15分の1になる。
ある中国研究者は「中国は4億人の貴族と9億人の貧困者である」と言ったが、そう考えると納得がいく。