米中休戦は対イランに集中のためか
2020年1月3日に米軍がイランのバグダッド国際空港を攻撃し、テロ部隊のソレイマニ司令官がなくなった。
イランは8日に報復攻撃したが、事前予告したうえ米軍に犠牲が出ないようにロケット弾を発射した。
これを受けてトランプ大統領は報復しないと宣言し、米イランの対立は小休止を迎えている。
とは言えこれは結果であり、イランが米軍に犠牲が出るような攻撃をしていたら、米軍はイランに本格攻撃をしていた筈です。
ピンポイント攻撃は相手が全面的な報復に出た場合、いつでも全面的な戦争に発展しえる。
遡ること約1か月前の2019年12月13日、米中は貿易交渉で第一段階の合意に達したと発表していました。
合意そのものは中国が米産大豆を買うのと引き換えに、米国は追加対中関税発動を延期するという、大して内容がないものでした。
それも何故か両国はすぐ署名せず、翌20年1月に署名する見込みだと説明していました。
米中合意は今も署名していないが、この米中合意そのものがイランへの対処の為かも知れない。
アメリカは19年12月にはイラン攻撃を決め、全面戦争の可能性も覚悟していた筈でした。
この時中国とも貿易紛争を抱えていたのでは、中国とイランが結合し、簡単に反米同盟を結成してしまう。
そこで中国とは一時休戦とし、イランとの戦争に備えるという事だったかも知れません。
米中休戦はつかの間
中国商務省によると、中国側の劉鶴副首相が渡米し1月15日に署名すると発表しました。
米中は前年12月13日に合意を発表しトランプ大統領は12月31日に、翌1月15日に署名すると言っていた。
だが中国は署名する日を明らかにせず、やっと1月15日の署名を発表した。
米側は続いて第二段階の交渉に入ると言っていたが、中国は第二段階については同意していない。
第一弾合意の内容は、中国は2年間で2000億ドルの農産物や、シェールオイルなどエネルギーを輸入する。
このうち金額が明記されているのは2000億ドルの農産物だけで、他は努力目標にすぎない。
対する米側はファーウェイなど1200億ドル分の税率を15%から7.5%に引き下げ、新たな関税は延期する。
トランプは米国の貿易赤字を減らすのを目標にしているので、もし結果が不十分なら簡単に破棄するでしょう。
中国が約束を守らず農産物を輸入しなかったり、合意と関係なく中国からの貿易赤字が増えたなら、追加関税もありえる。
中国と揉めている間に中東ではイランやシリアやトルコと険悪化し、北朝鮮も米朝合意を守らず核開発を再開している。
米国は中国にだけ構ってはいられないので、中国とは一時休戦して中東や北朝鮮に対処する。
それらの国々が片付いたら、またアメリカは中国が不公正だと言って責め、制裁や関税などを発動する。
中国側もそれが一時休戦なのを承知しているので、現状維持なら悪くないと考えている。
米中第一弾合意によるつかの間の休戦は、そう長くつづかないでしょう。