1年前の2019年初めには、ハイブリッド車は既に終わった技術で、EVの時代が始まったと思われていた。
だが予想されていた事だが、純粋なEV実用化にはいくつもの難関があり、すぐには超えられそうもない。
これは各国政府にも同じ事で、EV普及に必要な膨大な補助金やインフラ整備に気づき、EVに二の足を踏むようになった。
2017年頃中国をはじめとして欧州各国やインドが「20年以内にすべての自動車をEVにする」目標を発表した。
この時点では各国政府は口で言いさえすれば、自動車メーカーが勝手に開発すると考えていました。
実際にはEVはガソリン車とくらべて2倍は高価であり、消費者がEVに買い替えるには政府が半分を補助する必要がある。
現在販売されているEVはテスラを始めとして高級車が多く、500万円から1200万円以上で販売されている。
ガソリン車が1000万円でEVが1200万円でも消費者は気にしないが、これが200万円と400万円だったら絶対に買わない。
テスラモデル3は300万円台という触れ込みだったが実際にはオプション装備500万円で販売されている。
500万円の高級車としてはチープだが巨大なモーターによってフェラーリ並みの加速性能があり、ハイパワー車として結構売れている。
日産リーフは400万円前後だが、トヨタプリウスは300万円前後なので100万円も高く販売で大敗している。
このようにEVは高級車やハイパワー車としては良いが、100万円から300万円の実用車としては競争力に欠ける。
トヨタHV対マイルドHV
各国がカローラやアクアクラスの小型車をEV転換しようとすれば、1台当たり100万円もの補助金を支出する必要があります。
実際中国は新エネルギー車政策をそれを実行しようとしたが、1台80万円以上の補助金に批判が強まり廃止が決まった。
NEV(新エネルギー車)市場は、2014年の7.5万台から2017年の約70万台まで急増しました。
中国政府はNEV販売台数を2020年に300万台、2025年に700万台、2030年に1900万台に増やす目標を立てていました。
2019年と2020年に段階的にEV補助金を削減することにしたら、新エネルギー車販売は急減しました。
2019年にはそれまで5万元(約83万円)だった満額補助金は半分の2万5000元になり、2020年には完全に廃止される。
中国は金満のように振舞っているが実際の現金は少なく、政府補助金を大盤振る舞いできる財政状況ではない。
1台84万円の補助金の他に免税や優遇措置もあったので、実際は1台100万円以上もの購入補助をしていました。
EVとくらべてハイブリッド車は元々の価格が安いので政府が補助する必要がなく、税制などで少し優遇すれば良いのに気づいた。
中国でも日本製ハイブリッド車は人気があり、2019年は前年比30%増の約22万台を補助金なしで販売した。
中国で販売されたプラグインではない従来型HV車の99%以上を日本車が占めるなど独占的地位に就いている。
中国政府がHVを新エネルギー車に含める政策転換で日本製HVがバカ売れするかというと、話はそう単純ではない。
トヨタをはじめとする日本製HV車は主流から外されたため、増えているとは言っていも20万台程度にとどまる。
中国政府は中国メーカーにHV車を生産させて、国産化比率を高めたいと考えている。
そこで登場するのがボッシュなどドイツ勢で、マイルドHVという低コストなHV技術を売り込んでいる。
マイルドと言ってもトヨタ製HVの3割落ち程度の性能を発揮し、コストは大幅に安いと言われている。
スズキの軽自動車が使っているシステムをもう少し高効率にしたイメージで、国産化するなら中国政府が後押しする。
結局中国のEV転換は大幅に減速し、過渡期としてHVやマイルドHVが増加するでしょう。