2020年1月15日にロシアのメドベージェフ首相以下閣僚が突然総辞職を発表しました。
これを額面通り受け止めた人はおらず、事実はプーチン大統領が閣僚全員を解雇しました。
メドベージェフ首相は2008年から12年まで傀儡の大統領を務め、その後プーチンに大統領職を返還した。
ロシア憲法では大統領の任期は4年で連続2回だったが、2008年の改正で6年になった
プーチンは2000年から2008年に2期を務めた後、メドベージェフが1期、2012年から再び大統領職を務めている。
2018年の大統領選で再選したので、現行法では2024年の大統領選には立候補できない。
だがここで憲法を改正しなくてもプーチンが大統領職を継続できる裏技があり、それが首相になることです。
メドベージェフか誰かが2024年の大統領選で当選し、プーチンが首相に就任すると「連続3期」ではなくなる。
メドベージェフが就任後すぐ辞任した場合、最大3か月間はプーチン首相が大統領代行を務める。
これは大統領代行なので連続2期には含まれず、その後行われる大統領選から2期12年大統領職を務める事ができる。
本当にこんな無法な手段にでるのか信じる人は少なかったが、内閣総辞職で可能性が高まった。
この方法を使えばプーチンは今後何回でも永遠に、首相と臨時大統領を挟んで「永久大統領」になれる。
プーチンが真のロシア皇帝になるか
そんな事をロシアの有権者が許すのかですが、ロシアの選挙ではプーチン支持者とプーチン容認派しか立候補できない。
昔は反プーチン派の政治家が存在したが、みんな謎の死を遂げたり失踪したり逮捕されていなくなった。
プーチンは対抗する政治家をことごとく葬ってきたが、少しは世論を気にしておりそれが今回のクーデターに繋がった。
ロシアは年金改革を断行し、給付金を急激に減らしたのが反政府や反プーチン運動に繋がっている。
そこでプーチンは「年金改革をやったのはメドベージェフ」だと言って閣僚を総辞職させ、自らの延命を図った。
プーチン大統領は1月16日の年次教書演説で、憲法改正案を提案し首相の権限を高めると発言した。
憲法改正の中身や日程はわからず、もしかしたら大統領の任期撤廃が含まれるかもしれない。
プーチンとしては首相を1回挟むよりは、連続禁止の条項を憲法から削除したほうが良い。
プーチンは首相を挟んだり、首相として大統領を支配する場合に備えて、大統領の権限を法律上弱体化しようとしている。
プーチンが永久大統領になった場合は自身を縛る事になるが、プーチン個人が強大な権力を持っているので問題にはならない。
もしプーチン以外の誰かが大統領になった場合に備えて、自分以外が大統領になっても強大な権限を持てないようにしておく。
ロシアの憲法改正は複雑な手続きがあるが、憲法議会の3分の2が賛成すれば国民投票不要で、憲法議会はプーチンが任命します。
プーチンの任期はあと4年あるので、その間に憲法改正して永久大統領になるか、首相を挟むか、大統領職以外で実権を握る工作をできる。
その第一歩が今回の内閣総辞職で、これからプーチンの本当の帝政が始まるのかもしれない。