国民年金は従来40年間納付が条件だったが、2017年8月から10年以上納付していれば、年金がもらえるよう制度改正されました。
また65歳からだった支給年齢は60歳から繰上げ支給したり、70歳まで繰り下げるのも可能になった。
繰上げ繰り下げ支給をめぐってどちらが得か損か、解釈が分かれているが実際の所はどうなのでしょうか。
繰上げ支給の場合、65歳から支給時の金額を100とすると60歳からの支給額は70になる。
繰り下げ支給の場合、65歳から支給時の金額を100とすると70歳からの支給額は142になる。
60歳からだと5年早く受け取れるので、76歳8カ月までは累計の支給金額が多くなります。
70歳まで繰り下げ支給にすると5年遅く受け取るので、81歳10カ月までは65歳から支給より金額が少なくなります。
どうするのかは60歳になった時点で決めれば良く、繰り下げの場合は65歳時点で決めれば良い。
厚労省によると受給資格がある34%の人が、早く支給される繰り上げ支給を選択していました。
想像よりずっと繰り上げ支給を選ぶ人の割合が多く、早く年金を受け取りたい希望が強いのでしょう。
最初3割超だったが最近は繰り上げを選択しない人が増え、10%以下にまで減少しています。
実際に繰り上げ支給を選択した人から、思ったほど有利ではなかったという話を聞いたからでしょう。
長生きすれば繰り下げが得をするが
実は繰り上げ支給には支給金額が減るだけではないデメリットがあり、それは障害基礎年金を請求できなくなる点です。
障害年金は65歳以降に認定されても老齢年金を請求できないというルールが存在します。
もし60歳から繰り上げ支給すると、既に60歳になったものとみなされ障害年金を請求できなくなります。
障害基礎年金は1級(最も重い)だと974,125円、2級だと779,300円などかなりの金額だが、国民年金と両方同時に受給する事はできない。
つまり障害基礎年金を受給したら国民年金はなし、どちらかひとつなのだが繰り上げ支給された人は障害基礎年金を選べなくなる。
もっとも繰り上げない人も65歳になれば同じなので、5年間早く障害基礎年金を請求できなくなるという事です。
寡婦年金、遺族厚生年金、遺族共済年金も国民年金と同時受給はできないので、国民年金しか受け取れなくなる。
では繰り上げずに65歳や70歳からにしたほうが良いかと言うと、人間の寿命は分からないので75歳までに亡くなるかも知れません。
60歳から支給の人が65歳から支給の人に累計金額で抜かれるのは76歳8カ月で、78歳くらいまで大きな差は出ません。
80歳以上から累計金額の差が拡大し、90歳以上生きると200万円以上の差になります。
でも78歳までに亡くなる可能性もかなり高いので、「どちらが得か」は結局分かりません。
好きな趣味などができるのは身体が動く70代のうちなので、その後損をするのを承知で早く受け取っても良いでしょう。
特に70まで繰り下げると60歳支給より2倍も受け取れるが、お金を使える残り時間は10年も短いです。