折しも中国発新型ウイルスが流行し、中国から帰国したり訪日した人が日本国内でも発症している。
もし中国人が日本で発症や発病した場合、その治療費はいくらかかり誰が負担しているのだろうか。
ネット上では中国人が国保を悪用しているとか、タダで治療を受けて日本人が払っているような指摘もある。
民主党政権の時に「子供手当」を創設した際、外国人が子供が数十人いると言って子供手当を請求したのは記憶に新しい。
日本の国保では加入者や親族が外国で治療を受けると、帰国してから払い戻しを受けられる制度がある。
例えば国保の本人負担3割として、アメリカで100万円の医療費を払ったら、日本に帰国後に70万円払い戻される。
同じように中国やアフリカやアジアでも海外で払った7割が払い戻されるが、相手国によっては確認が取れないことが多い。
適当な中国語などの受診表や領収書を偽造しては、高額医療費がかかった事にして請求している中国人も多いと言われている。
外国人でも3か月を超える在留期間が決まっている人は、例外を除いて国保に加入しなくてはならないと定められている。
つまり中期滞在以上の外国人は全員が国保に加入し、日本で治療を受けたり海外での治療費を請求できる。
留学とかビジネス目的でビザ申請し、実際に日本語学校に通いながらアルバイトし、数千円の保険料を払って3割負担になる。
しかも国保には高額療養費支給制度があり、収入に応じてかかる医療費に上限が設定されています。
国保加入で格安治療を受けられる
例えば年収600万円以下の人は年約60万円以下などが上限で、それ以上はいくらかかっても支払わなくて良い。
たった数千円の支払いで数十万円の治療費が7割免除され、しかも年60万円以上は全額免除される。
そのうえ日本の治療費はアメリカなどより格安で、中国より医療水準が高いとされている。
もし自分が中国人でそこそこの収入があり病気になったら、どの国で治療したいかと言えば日本でしょう。
中国人の間では「日本で格安治療を受ける方法」も流布されていて、日本に入国してから発病した事にしなくてはならない。
この方法は実は昔から欧米人がやっていた事で、ガンなどになった場合日本支社勤務にしてもらい完治したら帰国する必勝法が存在した。
日本政府は医療ツーリズムとして来日医療をPRしているが、国保に比べて不利なのであまり人気がない。
問題はこうした国保利用が違法ではなく、不適切だとされるだけで合法なので拒否できない。
留学生や労働者は国保に加入し利用しているが、短期旅行者が日本で発病した場合も問題が起きている。
観光客などが日本でけがや発病した場合、救急車で搬送され病院で治療を受ける。
当然観光客は国保に加入していないので全額自己負担になり医療費の上限免除もない。
そこで治療費を支払うのを渋り、というか支払わないで病院から抜け出し、そのまま帰国する人が多い。
医療費踏み倒しも多い
日本の治療費はアメリカより安いといっても、全額自己負担で上限もなしだと、数十万から数百万円に達する場合も在る。
中国の平均年収は70万円程度なので、重い病気で入院したらもう払える金額ではなくなる。
外旅行保険に加入し支払われる契約になっていれば、保険会社が支払う事になる。
日本政府は2018年6月に、治療費が未払いの外国人の再入国を拒否する方針を発表しています、。
2015年に訪日外国人を受け入れた1,378の病院で、35%が医療費の未払いを経験していました。
訪日外国人の3割は旅行保険未加入で、訪日外国人の約5%が日本の医療機関を利用していた。
ここから計算すると訪日客3000万人中150万人が日本の医療機関を利用し、45万人が旅行保険未加入だった事になる。
その中には国保加入者も居た筈で、治療費を支払った人も多く、全員が踏み倒したわけではないでしょう。
19年3月に厚労省が発表した訪日外国人による医療費未払いは、2018年10月の1か月間で約9400万円だった。
未収金件数は3156件で、そのうち在留外国人が2430件(77%)、訪日外国人旅行者が726件(23%)だった。
患者一人当たりでは在留外国人で2万2917円、訪日外国人旅行者だと4万9709円だった。
訪日外国人の増加によって今後も国保利用や医療費未払いは続くでしょう。