短期間に感染ペースが加速
中国武漢発の新型ウイルス肺炎は最初の発表から約3週間で、感染者数が2千人の大台を超えました。
世界保健機関(WHO)は2020年1月25日、感染者数が1320人になったと発表、これは24日に中国国家衛生健康委員会(NHC)が発表した830人から500人も増えていた。
だが翌26日にNHCは、全世界の感染者数が2千人を超えたと発表し、中国本土での死者は56人になった。
NHCの馬暁偉主任は新型ウイルスの潜伏期間は約10日間で、1日~14日間の幅があると述べた。
また潜伏期間中は症状が現れにくく、その間に他者と接触して感染が拡大していると説明しました。
感染者の急激な増加については、ウイルスの感染力増強が見られるが、ウイルス自体の変異ではないとした。
1月23日に発生源の武漢から市外への空港、長距離バス、長距離列車の運行敵視が発表され事実上封鎖された。
26日には市街での自家用車走行が禁止され、高速道路を土砂で塞いで物理封鎖も実施した。
さらに徒歩で武漢市外に脱出しようとした市民を、公安や警察、軍が拘束しているという情報も流れた。
市内ではマスクは底をつき医薬品もなくなり、スーパーでは脱出に失敗した市民がパニック買いを起こしている。
軍の医療部隊を投入したり、緊急に1000床規模の病院を建設したり、医療施設を徴用したりしている。
北京市は1月25日に、国内国外のすべての旅行を禁止したが、27日には中国からの海外団体旅行を禁止した。
感染者は5千人を超え1万人も視野に
これに対する日本政府とマスコミの反応は「訪日観光客が減って日本経済が打撃を受ける」というものだった。
日本政府はいまだに何の対策もせず武漢からの観光客を禁止しても居ない(航空会社は自主的に武漢便を運航休止している)
25日から武漢空港は閉鎖されているが、武漢から脱出した感染者は今も自由に日本に入国できる。
アメリカはチャーター機を手配し米国民を脱出させると発表し、続いて日本政府も武漢から日本人を脱出させると発表した。
インペリアル・カレッジ・ロンドン研究所は22日時点で感染者数は数千人に達しているという推測値を発表していた。
同研究所は初期段階から「患者数は千人を超えている」と指摘し、実際にその通りだった。
感染源は当初ヘビとされ次にコウモリが候補になったが、現在はネズミとアナグマが疑われている。
北海道大の研究チームは25日、感染者数は武漢市内だけで5千人を超える可能性が高いとの推計をまとめた。
両研究所とも中国政府発表は信憑性が低いとし、国外で発見された感染者数から発生国の感染者数を推定した。
この手法は正確さに欠けるが客観性があり、中国政府が隠蔽する事はできない。
北海道大の西浦博教授は「中国当局による現在の報告数は過少である可能性がかなり高い」と指摘した。
客観的な推測からは武漢市内の感染者数は5千人以上で、中国全体では1万人に近づいている可能性が高い。
脱出不可能都市武漢
中国政府の対応は当初非常に遅かったが、25日に武漢封鎖の指示を出してからは過激な手法を取っている。
空港、鉄道、高速道路だけでなく一般道路も封鎖し、タクシーは全て政府が接収し歩行者も市街に出れなくした。
まさに脱出不可能都市になり、1100万人の市民は収容所に隔離されたような状況となった。
出ることが出来ないのは入る事も出来ないので、医療品や日用品や食料、医師などあらゆるものが不足している。
たが大手スーパーには政府が優先的に運んだ物資が並んでおり、おもったより品数が多い。
こうした情報はSNSで市外へ伝達され、情報だけが武漢と外の世界を繋いでいる。
封鎖は武漢だけでなく湖北省の主要都市ほぼ全域に広がり、2省と3都市ではマスク着用が義務化された。
新型コロナウイルスは中国経済にも打撃を与え、天安門以来最低だった成長率をさらに押し下げると思われる。
2019年の成長率は6%だったが、20年第一四半期は3%やゼロ成長の可能性もある。
もっとも中国はリーマンショック時にマイナス成長だったのに8%以上と発表した前科があり、今回もマイナス成長を認めないでしょう。
成長率が低下すると中国は必ず公共投資を増やし、土木工事や不動産バブルで成長率をかさ上げしてきた。
今回も公的資金投入で表面的な成長率は維持し、隠れた政府債務だけが増えるでしょう。